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2015年10月10日 (土)

ターンテーブル用acモータは凄かった!

2 テクニクスの新型ターンテーブルの構造図がネットに出たので解析してみよう。2001年にマランツの依頼でw社とamp工房で開発したコンピュータコントロールターンテーブルのモータに良く似とる。違いはモータの構造で特段新方式でもないがコイルと磁石の対向型で、これはコギングに対して真に有利であるが、しかし効率は落ちる。ロータリーエンコーダと起動時60度毎角度検出用ホール素子を持った基本構造はあんぷおやじ流儀である。かくして斬新さは皆無で、分布巻きsp10でノックアウトされたテクニクスの凄さは微塵も感じられず、フツーになった。
Ttamp2磁石付きモータと戦うこと20数年、磁石に対しては怨念にも似た恨みがある。アマチア時代ならば多少ギクシャクしても気楽だったが、プロになってからは許されず、ゲインが稼げない領域での磁石付きモータの挙動には散々泣かされた。よってターンテーブル用モータはacモータになる!いや、acモータならば解決出来る訳でもないのだが、この期に及んではもう磁石付きを扱いたくないが本音で、ご容赦あれ。
3_2 acモータで外形Φ300mmのエディカレントモータは高価(50万円位)でも良ければ、積層ケイ素鋼板をワイヤカットしていつでもできる。安いタイプはdp80や3000の中古モータを確保すればいつでも出来るので一応解決済みとして、今回は市販のリラクタンストルクモータの性能と限界を探る。
リラクタンストルクモータの特性は、起動時インダクションモータとして動き、定格速度領域に近づくとロータの凸極特性に引きずり込まれてリラクタンストルクによる同期運転となる。
31_2 構造研究のためにオリエンタルモータをバラしてロータ、ステータ、巻き線を調べた。ロータはインダクションモータと同じのカゴ型で真ん丸、普通リラクタンストルクモータはロータが凸極構造を持っている。真ん丸で凸極特性を持つこのモータは滑らかに同期して優れものでは?
32 一方でemt927のモータの場合はロータをカットして明らかに凸極構造とし、凸極特性を持たせる。emt927の時は全体のワウフラ測定しかやっていないのでモータ単体の特性は不明である。形状比較ではカットしていないオリエンタルモータの真ん丸に軍配が上がる。
Sv1 こちらは日本サーボのシンクロナスモータsh6p2nと商品名はなっているが実態はリラクタンストルクモータで、バラしてみるとロータはemt927と同様に極数分だけカットしてあり分かりやすい。
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4 オリエンタルモータの2sk4a-aul 3.5w(6,500円)か3sk10aーaul 6.5w(7,400円)が使える。後ほど述べるが振動の問題でモータは小さいほうが良く、2sk4aでトライしてみる。電圧は100vとなっているが信用しない。コイルインダクタンスを測定すると、主巻き257mh、副巻き867mh、副巻きの抵抗は500Ωで、20hzの時のインピーダンスは概略510Ωで副巻き駆動定格電流を50maとすれば26vrmsとなり、手持ちリニアアンプで問題なく回る。2sk4a-aulモータの公証フラッターデータは4%で、これをあんぷおやじ流儀で回すと0.6%が出てしまい、こりゃあエライことになった!
5思う所があり純粋に2相サーボにしてみようと巻き直しを考えた。2sk4aは不幸なことにエンドブラケットが焼き嵌めされていて分解できない。そこで治具を2種類作り強引にエンドブラケットを剥がした。画像の右治具はワイヤーカットで複雑な形状を切ったが、結局は簡単な構造の左治具でうまくバラせた。
6巻き直しは主巻きも副巻きも完璧に同じ値とする。巻き方はy川モータの天才モータ設計者から教わり、最初に巻き線の長さを揃えて切っておいて巻けば同じインダクタンスになりトルクリップルが減少する。そのモータ設計者に”巻き終わって線が余ってしまったらどうしますか?”と聞くと”そりゃあ残念だが巻き方が悪い、やり直しだね”と手厳しい。インダクタンスは250mhとし、これはdp80や3000と共用を目論み、真空管アンプで回す為の値でもある。
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7 さて主巻きと副巻きを同じ巻き線にした大きな狙いは、shcpuとdaコンバータの組み合わせで自由自在にどんな駆動パターンも作れるため、主巻き、副巻きの区別を止めた。言い換えれば3相モータに対する2相モータとなり、昭和40年代に日立で見かけた精密計測器の2相サーボモータをイメージし、回転磁界を90度位相にするだけである。画像のテストベンチでパラメータを変えながらフラッターを測定する。モータの対向にロータリーエンコーダがあり、この信号をフラッターメータへ接続する。
8 勿論駆動波形は0.1%程度のひずみ率のサイン波でここが大きなポイントとなる。画像の黄色が副巻きv相で青の主巻きu相より正確に90度進んでcw方向に回転する。位相角をいじったが、これは失敗で改善されず90度に固定した。
9電流レベルのパラメータを限界まで下げた調整にして、ベストフラッターデータを叩き出した。目黒のmk-615フラッターメータに設定ミスがあるのではないかと疑ったが、正真正銘何回測定しても0.09%なのだ。周波数カウンターも安定している。ダイレクトドライブにも使えるフラッターレベルだが、トルクが小さくこれ以上の低回転は無理なので現実には不可能。テストベンチの精度が怪しく芯出しすると0.06%ものチャンピョンデータが出た。2sk4a-aulモータの公証フラッターデータは4%で、これが0.06%とは一体?現実には負荷が加わり電流を流す為この値は悪くなるが、ターンテーブル用モータはacモータでもdcモータでも精密モータでない限り低トルク調整となる。
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Emt927 emt927の3相モータを単相化駆動している間違いと一緒で、主巻き、副巻きと分けた標準構造の場合、インダクタンスを変えて副巻きにコンデンサを付けて駆動する方式が振動を出易くしてしまい、間違いなのだ。3相交流か2相交流で回せば素晴らしいコトになり、acモータは凄い!となる。サーボアンプ屋はいつもモータ設計者に”なに設計してんだい!”と悪態ついていたが、スマン!駆動できていなかったこっちの責任だ。acモータは既に出来ていたのである。

おまけになるが、今回の2相acサーボモータ化は忘れていた色んな事を思い起こさせ、レコードを真に滑らかに回すには、エディカレント3相acサーボモータとし、巻き線長さまで完璧に3相分揃え、ステータスロットはケイ素鋼板を積層してワイヤカットで精密切断して、その他の部品も全てマシニングで精密加工した手作り品によってのみ、超低トルクリップルのddモータが出来て、初めて究極のターンテーブル用モータになると、改めて思った。2004年の頃、超低リップルのブラシレスdcサーボモータを研究していた時、y川モータ社長とは古い付き合いで、北九州小倉へ飛んだ。早稲田出の音楽好きの社長は歓迎してくれて、小倉の美味い魚をご馳走になり、更に広島大出の部下である、若き天才モータ設計者を紹介してくれた。真の技術者は屈託なく核心のモータ設計を惜しげもなく披露してくれて、目から鱗であった。周りに凄い人々が居たもので今更ながらの感謝である。

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