« Mark Levinson No.26L 改造手法 | トップページ | 表面導体型誘導モータ »

2015年10月14日 (水)

ヒステリシスシンクロナスモータを回す

1 1970年代前半、社内ではチト有名になりややっこしい制御の依頼が数多く舞い込むようになった。予算措置から設計、手配、動作確認まで全て一人でこなし、一人プロジェクトxはこの頃からやっていた。コンプレッサ製造課の酸洗いでリフマグ(磁石で鉄材を持ち上げる)の切れが悪くて材料が落ちない、何とかして!とsosが入る。この程度は何でもない、と簡単に考えoffの瞬間に電流方向を変えて出来た!と思ったがダメで思案した。そうか磁気ヒステリシスか、-電流でもダメでoffした瞬間に交流を流しbhカーブを移動している間に重量が勝り、落下した。確かに学問ではbhカーブを学んだが、実戦して初めて身に付く。

2主題のヒステリシスシンクロナスモータは昔のターンテーブルに数多く使われていた。そのヒステリシスモータの動作を正確に理解するため、モータ師匠の”小型モータのすべてがわかる本を引っ張り出した。その説明文は「ヒステリシス特性を利用して回転させるもので...」いや、だからヒステリシスでどうやって回るのでしょうか?と聞きたかったが、紙面の関係で詳細な記述は無し。ネットから出てくるヒステリシスシンクロナスモータの解説文は、モータ師匠の文章が殆どで検索は止めた。
Hism4 余りにも古くてヒステリシスシンクロナスモータを設計できる人も居なくなり資料も少ないが、大手電機メーカの技報のアーカイブから出てくる可能性があり、本件に関しては1970年の富士電機の技報に論文されていた。以下文章は其処からの出展である。「固定子に通電すると回転子は固定子磁界にて磁化されるが、ヒステリシス現象にために固定子起磁力より遅れて進行する磁束密度が生ずる。固定子起磁力方向と回転子内の等価磁極中心方向とが一致する方が空間の磁気エネルギーが大となるので、この遅れのために回転子にトルクを発生する。」
Hism3 画像のモータは1970年頃の松下電器製のヒステリシスシンクロナスモータで、4極とゆうコトは60hzにおいてns=120f/pは1800rpmとなりモータプーリーはご覧のように小さくなり、高回転でぶん回してターンテーブルをベルトドライブし、何とも不自然な方式であった。
Hism1_3 例の如くインダクタンスを測定すると、主巻き597mh副巻き1400mhと時代の苦しさを象徴するかのようにグルグル巻きにしたハイインダクタンスで、参りました。固定子から発生した磁界より遅れてヒステリシスリングに発生した磁力により回転トルクが発生して、仮に進み回転の場合には発生トルクの関係が逆転してブレーキトルクを発生して、一人速度フィードバックを磁力だけでやっている、とんでもない優れものがヒステリシスシンクロナスモータの実態である。動きのメカニズムが分かればシメタもので、たたみかけてモータを回す。
Hsm20 ヒステリシスシンクロナスモータがどれだけ低速で回転するか試してみた。画像のサイン波時間が18.8secの2電気角(4極)で1回転する為、18.8secx2=37.6sec 60/37.6=1.56rpm、周波数から計算しても0.05319hzは120x0.05319/4=1.56rpm、1800rpmのモータが何と1.56rpmで回り、モータ制御技術の勝利でエライことになった。これが200khzサーボの威力で自在にサイン波を発生できる。この柔軟性に慌ててm+aさんに来てもらい、明日からこのモータを探しにボッコ屋廻りをしようと、密談した。流石にこれだけ低速では電気角毎の磁力に引っぱられた動きでギクシャクしながら回り、まあモータの構造は良く理解できる。駆動周波数0.05319hzはやりすぎで、この古いモータを使ってベルトドライブターンテーブルを作る時は、10hzから20hz辺りを基準周波数とする。10hzの時は300rpmとなり33rpmに変換するには1:9のレシオになる。切れの良い数値1:10とすればターンテーブルΦ300mmに対してモータプーリーΦ30mmとなり、ブン回ることもなく具合が良い。
7
モータ駆動技術が開発される前に、磁石付きモータへと時代は移り高効率が必須で古いテクノロジーの交流モータは過去の遺物となった。画像の左から本テーマのヒステリシスシンクロナスモータ続いてエディカレントモータ、次がリラクタンストルクモータ、最後が表面導体型誘導モータのロータ試作品でまた別な機会に。交流シンクロナスモータの代表3種で、所謂突極性で同期するモノがリラクタンスタイプでヒステリシスもエディカレントも突極性を持たず極めて滑らかに回る。磁石付きモータは突極性の最たるもので...
Hism40 ならばddターンテーブル用ヒステリシスシンクロナスモータを設計してみよう。大体が真空管jazzのブルーノートレキシントン盤を再生するには時代背景から、低効率、非合理化、高価と現代人が目を背けるような方式が良い。ヒステリシスリングはコバルトクロム鋼など100トンも発注しなくてはならず、我らには無理な話し。そこで昔のモータ設計者が呆れるようなねずみ鋳鉄品(FC材)を使おう。これには深ーい意味があり、ロータそのものが自己防振構造になり、静岡の栗田工業へ依頼すれば何時でも鋳物を吹いてくれる。
Hsm31 ヒステリシスリングが低効率で出来たので、画像のエディカレントモータとほぼ同じ構造でいける。ヒステリシスシンクロナスモータ(無帰還方式)もエディカレントモータ(速度帰還方式)も手作り方法が決まり、何時でも出来る。あんぷおやじ流儀のパワーアンプは2a3の無帰還アンプで、同じ次元とすれば無帰還のヒステリシスシンクロナスモータになる。最近は面倒に巻き込まれるのが億劫で無帰還モータに限る。16極で3相の4スロットとすれば192スロットとなり、ハイレゾヒステリシスシンクロナスモータとなる。またしてもターンテーブル用モータの選択肢が広がった。オーディオに関しては論を持つと論に引っ張られ自由を失い、論を持たない方が良い。
おまけ、ラグビー凱旋でマイケル・リーチに日本語のインタビューが集中したが、時々日本語が出ず気の毒に思った。東海大のグラウンドで話しかけた時は英語で話した。一生懸命コトバを探している姿は、彼のまじめさを象徴していた。

|

« Mark Levinson No.26L 改造手法 | トップページ | 表面導体型誘導モータ »