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2015年10月16日 (金)

表面導体型誘導モータ

Mt0モータ師匠は実家が近所であることから30数年のお付き合いになり、良きメンターである。大学退官後は教え子で世界一のモータ企業になったnd社の中央研究所長になられた。イギリスのダンディズムを重んじ、英語は歯切れのよいブリティッシュイングリッシュを話し、シティボーイのお洒落で人気ドラマの右京さんのようなイギリス通である。しかし何よりも幼子のような純粋な探究心に頭が下がり、日本のモータ黎明期にイギリスとドイツから最先端のモータ技術を学び、日本流儀の小型交流モータの研究に生涯をささげた先達である。

Mt6_2 モータ師匠が大学を退官されてから暫くして高橋研究室を訪問した。丁度研究室は片付けの最中で、長年研究したモータの残骸が所狭しと散乱していた。その中に銅のロータを見つけると何やら予感がして、高橋先生に”スクラップ屋に出すのであればください!”と申し出ると”良いでしょう”と快い返事、”所で先生このロータは一体何ですか?”すると先生はニコニコしながら”凄いモータですよ!”と謎めいた。それから数年間銅ロータの存在すら忘れていた。

Mt3_3 モータ師匠の最新刊”小型モータが一番わかる”の宣伝文を見ていて、たまげた。その銅ロータは、本の記述にある表面導体型誘導モータのロータではありませんか!ブラシレスdcモータに変わる前に、レコードプレーヤのダイレクトドライブに使われたが、商品は短命であったとある。モータの構造は単純でケイ素鋼板の円筒に銅の円筒を嵌めるだけで良く、シンプルな構造は原理原則の判断基準になる。

Sisx 絵描きのなりそこないは、日本の絵画は桃山時代を日本ルネッサンスとして長谷川等伯で終わり、イタリアルネッサンスではミケランジェロにダ・ヴィンチ、最大譲歩でバロックのカラバッジオで終わり、これを勉強すべきと持論している。人類にそう何度もルネッサンスは来るわけでもないし、素直に停滞を認めるところから次のルネッサンスの誕生があるのだろう。かくしてこの進化の過程をjazzにあてはめると、1950年代の真空管時代とピタリと一致して終わっている。ここに焦点を合わせて再生するならばレコードになり真空管アンプと自然に答えが出る。しかし現代音楽や最新録音、更に凄い音!を求める方はハイエンドオーディオにすべきで、ハイレゾにすべきと思う。

Mt9 モータ師匠の退官が決まったある日、大学を訪問すると寂しげに”交流モータはもう古いからね!”と言われ、そうだな完全に磁石付きモータの時代になったのだ、と思った。所が世界的には中国のネオジュウム事件が起きて、誘導モータの見直しが始まり、amp工房ではリラクタンストルクモータを使ったemt927の音にやられて、sp10など磁石付きモータ所ではなくなった。こうなりゃあモータ師匠の研究された小型交流モータの意志を継いで、あんぷおやじ流儀の最先端制御技術で1950年代jazz用のターンテーブルを作ろうと意を決した。もう磁石付きモータに2度と戻るまい。

Sh7286 かくして画像のsh2aコアsh7286cpuボードで300khzターンテーブル電流制御に挑む。なぜ300khzかはゲインの問題でも分解能の問題でも圧倒的に有利となる。第一ハイレゾで192khzと言われりゃあ、負ける訳にはいかない。勿論あんぷおやじ流儀のosを搭載するが、タスクスイッチから電流制御が完了するまでに3.3μsecで終えねばならず、相当に難しい。縦軸の分解能が16bitに対して、サイン波の時間軸を300khzにすると3.3μsecの分解能になる。16極8電気角のddモータを33rpmで回した場合、1電気角の時間は0.227secとなる。0.227/0.0000033=68787となり時間軸分解能は16bit並みになり、縦軸と横軸のバランスが取れる。クロックは12.28mhzでこの8倍98.24mhz動作、勿論言語はアッセンブラ、多分sh7286アッセンブラ記述者は世界中どこにも居ないはず。daコンバータは16bitこれは内部データをそのまま吐き出せて便利、16bit±32767の分解能は1v出力で量子化30μvとなり手に負える範囲となる。ハイレゾで32bitだ!と騒いでも、息を吹きかけたら吹き飛ぶレベルのナノボルトでは、電圧に重さが無い。

Mt8 さて表面導体型誘導モータの構造を調べると、エディカレントモータもヒステリシスシンクロナスモータも似たか寄ったかで、ステータを1種類のみ作りロータだけ変えれば3種類のモータが出来る。これは朗報で、このモータ開発でお代の掛かる所はステータの積層ケイ素鋼板のワイヤカットで、ロータ側の引き物(旋盤加工)は大したことはない。

交流モータの遺産にとんでもない優れものがあり、多分時期尚早でモータの方が進んでしまい制御系が遅れて、正しい評価が出せなかった不幸と言える。与えられた使命としてそれら優れた交流モータを蘇らせ、テクノロジー激変の生き証人として後世へ伝えねばならない。時代に惑わされて右往左往しているより、どっしりと腰を据えて昔ながらをやっていると、気が付いたら時代の最先端になる。

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