« 電源力学 真空管依存症 | トップページ | サイレントドラムがやってきた! »

2016年7月12日 (火)

振動力学 JBL130Aを蘇らせる編

Laocoonx出展:wikipedia
「ラオコーン像は、バチカン美術館のピオ・クレメンティーノ美術館に所蔵されている大理石の古代ギリシア彫像。彫像の製作は紀元前42年から紀元前20年ごろに制作されたのではないかと考えられている」
テルミニ駅前で自由解散となり旅を一緒していたバックパッカーに近い風情の女史は、今からヴァチカンに戻りラオコーン像を見に行くと言ってバスに乗り込んで行った。ミケランジェロはこのラオコーン像にやられて彫刻に励み、そしてミケランジェロにやられて安田侃さんは現代彫刻へと向かう。この2000年の時は、芸術は常に人類が大して進化していないコトを示し、我等は現代科学に奢ることなくオーディオに芸術を持ち込もう。

11突然常連のy本さんが”これは工業製品ではない芸術だ!だから何十年も経っても色あせない”とjbl130aの超改造品を見ながらつぶやく。1950年発売の130aは当然アルニコマグネットでコーン紙にコルゲーションは無いからalrecのウーファみたいなイメージと捉える。能率は101dbでaltecの515bより若干落ちる。いっとう大事は”edgewound copper ribbon voice coils”でここが銅でなければならず、アルミ線は具合が悪い。配線材を気にしない御仁であれば何でもよろしいが、ofc99.999...を唱えるならば銅になる。130aも416-8aも515bも全部銅のヴォイスコイルでよろしい。

2さて防振構造の最大のネックはフレキシビリティを持たせた錦糸線であり、ハトメを介して接続されている部分になる。
altec403a蘇りの手法で初めて錦糸線を表に出し、その成果に気を良くして130aも同様の改造を施すことにした。改造の難しさは文化遺産たるヴィンテージオーディオを痛めつける事無く進めることで、あんぷおやじは破壊者であると言われるが、実はここのところに細心の注意と奇想天外を持ち込んでいる。

3このハトメは真鍮若しくは鉄で出来ていることが多く電気を通したくなく、更にハトメ力の強度不足でハンダコテで無造作に加熱して力を加えると、コーン紙ごとボソッと抜ける。そこでヴォイスコイルの銅リード線だけハトメや錦糸線から外す、多分ここが一番の難作業で意識を集中する。外し終えたら0.1mm厚ofc銅板をΦ10mmの丸にカットしてハトメ部へ接着する。

4

awg11.5のカルダスワイヤーのマルチストランドを2層巻き解く、両端のポリウレタンコーティングを薬品を使い丹念に剥がし先端をハンダで固定する。出来上がったカルダス錦糸線を熱収縮チューブに通し水晶微細粒を充填しワイヤーの出口のみ熱収縮させてフレキシビリティを持たせる。130aの取り付け穴を利用してステーを取り付け、純銅端子を付ける。この部分はofc銅パイプをハトメ位置真下から出し端子無しで金線の錦糸線に繋ぐのが正解で、テスト段階でそこまで進化していない。カルダス錦糸線を純銅端子とofc銅板ハトメにハンダ付けしてこの部分の作業は終わる。

5スピーカの前に障害物があると音が変わるとするような御仁には縁の無い改造方法だが、最終的にはofcΦ25mmパイプが下からニョキッとせり出すだけだから問題ない。この手法により錦糸線の防振構造化が簡単に行え又線材のテストも容易となった。
イタリア語のプアーな我等はたったの2時間でサン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂まで行き、カラバッジオの3部作を観て帰って来る自信がなかったので女史のようには行動できず、テルミニ駅前の土産物売り場を散策しながら”次に来た時にいきゃあいいや!”と決めた。しかし5年経っても再びローマを訪問する機会に恵まれず、無理しても行っておくべきだった。130a改造依頼主のy本さんが”良い音で聴く時間はそう残されていない、今がやるべき時だ”と言われ、時間の十分ある皆さんはゆっくりと思慮されるのがよろしい、しかし我等は常に”今”なのだ。

|

« 電源力学 真空管依存症 | トップページ | サイレントドラムがやってきた! »