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2016年12月 5日 (月)

無帰還力学 3相誘導電動機ddターンテーブルの考察 了

Carav画像出展:wikipedia
真面目1本やりで、傍から見れば面白くもなんともないあんぷおやじは、放蕩で無頼で真面目でないミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオが大嫌いでありました。この絵を見てほしい、中性的でなんとも粘っこくいやらしい。それがいつしかやられて...今はカラヴァッジオフリークになってしまった。そのいつしかとはフィレンツェのウフィツィ美術館でカラヴァッジオの本物を観た時で、本物力の凄さをマザマザと実感した。

Im1_2このような体験は幾つかあり、本題の3相誘導電動機も同様に大嫌いでありました。理由は既エントリー通りで、今ではターンテーブルの救世主とさえ思える。金田式もdp3000へと移りやがてdp80やdp100のacモータタイプになると思うが、これらacモータをもってしても勝てないのがemt927であり、この3相誘導電動機の研究はそのemt927を凌駕してjazzオーディオの新境地を開くためである。

1_3あ!嫌いが支持側に回ったもう1つに鋳物がある。これも仕事の関係で嫌いになったが、オーディオで振動防止の効能が分かると支持側に転んだ。鋳鉄の主たる鋳物を、ねずみ鋳鉄と呼ぶ理由は次の通り。「炭素1.7%以上6.68%を含む鉄-炭素合金のことで、通常ズクと呼ばれ、炭素の他にも、けい素、マンガン、りん、いおうなどの元素を含んでいる。鋳鉄はもろいので衝撃に弱く、したがって鍛造や圧延等の熱間加工には不適であるが、他の炭素鋼に比べて融点が低くて鋳造しやすく、且つ機械加工が容易であり、しかもその価格が安い...ねずみ鋳鉄とは、破面が灰色、つまりネズミ色であったことに由来する。」 このねずみ鋳鉄はそれ自身がもろい材質から、高剛性でありながら振動を吸収できる唯一の素材であった。所が水晶粒防振機構はこれを大幅に超えた。

2_2今回は摩擦のお話、摩擦が無くなれば(空気摩擦も含めて)起動時に33rpmでたたき出してやれば未来永劫33rpmで回転し続け、速度帰還がどうのこうの、pid制御がどうのこうの、全部吹っ飛んでしまう。とゆうか地球上のエネルギーバランスが崩壊してしまい、産油国は壊滅する。横道にそれた!このエンドブラケットに埋め込まれたベアリングが摩擦の元凶でいやらしい。

3 各種軸受の摩擦係数を調べると下記の通りで極めて興味深い。ターンテーブルにはメタル軸受けが一番合い滑らかで良い、ベアリングがボールの転がりでゴロが出るから具合が悪い、何となく伝わってきた軸受けの評価を調べなおしている。画像の左が深溝玉軸受で右が円筒ころ軸受となる。

軸受形式                       摩擦係数
深溝玉軸受                    0.00100~0015
アンギュラ玉軸受          0.00120~0020
自動調心玉軸受             0.00080~0012
円筒ころ軸受                   0.00080~0012
総ころ形針状ころ軸受       0.00250~0035
保持器付き針状ころ軸受   0.00200~0030
円すいころ軸受                0.00170~0025
自動調心ころ軸受            0.00200~0025
スラスト玉軸受                 0.00100~0015
スラスト自動調心ころ軸受  0.00200~0025
滑り軸受                         0.010~02
上画像右の円筒ころ軸受をシャフトに取り付けたら中と外が分解してしまい青ざめる、何と無知なロボット屋?いや高価すぎてロボットには深溝玉軸受しか使えなず、我がターンテーブル用で初めて使った。オレンジ文字に比較を示したが、円筒ころ軸受はベストで今回テスト中、emt927などに使われているメタル軸受けは滑り軸受けに該当し、ベアリングより一桁性能が落ちてこれは一体?

Kenjyo1amp学校は年末になると各自忙しく、本日はkuraiman社長氏と名工ミルト氏の2名で忙しく古典管の防振構造を作る。学校終了後にモータの世界的権威者の見城先生が見えるから、紹介したいと居残りをお願いした。見城先生はスコットランド人のチャールズ氏を伴って見える。用件はブリティッシュイングリッシュの録音やデータ処理についての打ち合わせで、名工ミルト氏が本職で対応していただき感謝でありました。こっちは先生の見えるのをてぐすね引いて待っており、この時ばかりとターンテーブル用モータ3相誘導電動機の可能性について矢継ぎ早に質問を浴びせ、失礼しました。画像の「小型モータが一番わかる」著書はモータの原理原則を知る上で実に分かり易い快著で、ターンテーブル用モータに興味をお持ちの方は是非ご購読を。

Kenjyo2先生は”もう自分たちのモータの時代でない”と言われていたことを思い出し”見城先生!先生が10歳若ければ無尽蔵に存在するこれら3相誘導電動機を持ってターンテーブル界に革命が起こせて、過去の遺物がオーディオでは最先端になります!”と思わず熱弁してしまった。上記先生の著書にもあるがスロット数と極数の関係を議論して、これからの3相誘導電動機巻き線変更の手法と、入手すべきモータ仕様の手掛かりを掴んだ。

8次にemt927で使われている凸極特性のリラクタンスモータについて議論する。リラクタンスとは磁気の通りにくさで磁気抵抗になり、カット面は磁気抵抗が大であり、回転力は磁気抵抗の低くなる向きに発生する。先生の結論は”同期回転しか出来ない便利なモータだが、凸極部分(カットしていない円弧部)でハンチング(振動)が起きる!”と言われ、実はロータの4面をカットした形状を見た時に感が働き、これはまずいぞと思っていた裏づけがとれた。

4リラクタンスモータは極数分、emt927は4個の凸極特性を持ち、1回転で4回の振動発生要因が存在する。従ってemt927がブレーキを常時掛け粘性負荷にしている理由が明快になり、3相誘導電動機ロータの誘導型と形状の真円が正解となる。

Kenjyo3続いて3相誘導電動機の超低速制御の問題点についての議論で先生が直筆で書かれ、現時点で動かさなくてもおおよその見当が付くまでに至り、さすが交流モータの権威者と感心しきりでありました。また3相誘導電動機を回しっぱなしにしておいて、dcモータによる電磁ブレーキで一定トルク制御をすれば同期電動機なるアイディアはいけるとお墨付きをもらった。さあ、問題はddにする周波数帯のトルクカーブがグラフ下のようになりトルク変動に対する回転変動が大きくなりワウフラを悪くする。ここを集中的に解決する方法をこの先検討する。久しぶりに技術論でスリリングを味わい、これだから研究者は止められない。

Lxまたamp工房で研究中の各種モータを見てもらい議論した。某社ターンテーブルベルト駆動に開発したリラクタンストルクモータも、ロータ形状は真円だが内部の切り欠きで凸極特性は同じと判断された。どうりでこのモータでddの33回転まで速度ダウンしたら、ワウフラが急激に悪くなった理由が明快になった。

Dp80現状でddターンテーブル用acモータはデノンしかなく、denon dp80とdp100モータの開発について、oemメーカのシナノケンシへの指導は見城先生であり、実際の開発者はモータ先輩のn村氏だが原理モータをスイスから手に入れ先生の指導で研究をした経緯があり、エディカレントモータの歴史を垣間見た。日本における小型モータの黎明期は現在と違い、開発者にとって実にスリリングな良き時代だった。エディカレントモータは最高の滑らかさの回転だが、同期特性を持たないため速度帰還が必要で、究極のターンテーブルdd無帰還からは外れる。

Teslax最後に見城先生から”これら3相誘導電動機を使ったddターンテーブルの手法は大変面白く、イギリスやアメリカでは反響を呼ぶのでは?”と言われ”仰せの通りで、何らかの方法で海外へ情報を発信します”と答えた。amp学校の目的は単なるオーディオ技術の習得の場から、最古のモノを用いて最先端を成す研究機関へと変容しつつあり、現在のメンバー7名は研究員として位置づけられる。よって次回以降amp学校改めampラボとする。

Cara2画像出展:wikipedia
出所を隠し時代と共に歩んだ騎士団ベラスケス、時代に反発して時代と戦った無頼カラヴァッジオ、共に悩みの比重は同じに思え、絵画表現の比重も同じように見える。ベラスケス絵画の原点をカラヴァッジオとすれば、目指すべき絵画の原点はイタリアルネッサンスとなり研究を続けよう。目指すべきddターンテーブルの原点を無帰還方式とすれば、古典3相誘導電動機となり研究を続けよう。本編にて考察は終了で以降研究実務に入る...これは決して懐古趣味ではない!

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