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2016年12月29日 (木)

素材力学 古典管フィラメント考3

Rafaラファエロ・サンティ(Raffaello Santi)はシスティーナ礼拝堂の天井にへばり付いて、天地創造の天井画を描いている(1508年~1512年)ミケランジェロを尊敬の眼差しで見つめていた。署名の間の次にボルゴの火災の間へ入る。違う!まったく違う!ラファエロ・サンティの絵ではない。筋肉質はミケランジェロ画風で、おおいにたまげて天才でも他人のマネをするのか?見た瞬間に思った。帰国後調べると、ラファエロ工房の弟子たちが描いたとあり何となく納得はするが、聖母のラファエロとは似ても似つかない。弟子達がミケランジェロフリークの師匠ラファエロを喜ばせようと、あえてミケランジェロ風表現したのか?ラファエロが指示したのか?謎は続く。
Cxカニンガムcx310トリタン管は煌々と火に見えてきて、ボルゴの火災画を思い出した。火となればトランジスタに非ず古典管となり、jazzオーディオの力強い表現になる。その正体はフィラメントから噴出する熱電子なのだ。昔、真空管はヒータで熱が出るから暖かい音がし、トランジスタは石だから冷たい音がする、とまことしやかに伝わってきて、一応専門家っぽく否定的な能書きを垂れたが見た目通りの真実もありで、物事は深くも浅くも考えるべき、だった。

2a3spxそうだ、熱電子だ!
名城大資料から引用「金属を加熱すると,表面から熱電子が出てくる。金属内の自由電子が,金属の表面から外へ飛び出すためには,その表面付近のポテンシャル障壁を超えるだけのエネルギーが必要である。常温の金属内で運動している電子のエネルギーでは不十分であり,電子は外へ飛び出すことができない。しかし,金属の温度を上げると,自由電子の運動エネルギーは増加し,十分高い温度では,相当数の電子が十分な運動エネルギーをもち金属表面から飛び出してくる。その結果,熱電子放出が生ずる。」

350_3酸化皮膜フィラメントはタングステン(抵抗率5.29 × 10-8Ωm)線の上にアルカリ土類金属の酸化物を塗布して出来ている。融点まで温度を上げてしまうと溶けて断線するため、融点より如何に低い温度で多くの熱電子を放出させるかが重要で試行錯誤が続いた。酸化皮膜の生成方法はタングステン線に炭酸バリウムや炭酸ストロンチウムを塩の状態で塗布し、真空管製造工程の中で1000℃に加熱して酸化皮膜を作る。
タングステン(融点3382℃)フィラメント本体
バリウム(融点717℃)酸化皮膜
ストロンチウム(融点771℃)酸化皮膜
トリウム(融点1827℃)トリタンのトリア
タンタル(融点2996℃)初期のフィラメント

310x_2アルカリ土類金属の酸化物であるバリウムやストロンチウムを塗布すれば、共に融点は700℃台で当然熱電子放出温度は下がる。タングステンは1000℃に耐えるのだから楽勝で、そこで信頼性の向上と長寿命化が実現した。とまあここまでは古典管フィラメント考は順調に理詰めを進めたが、ん?待てよ。飛び出している熱電子はバリウムやストロンチウムが出しているのか?タングステンが出しているにのか?はたまた両方か?素材力学上ここの素材は重要で、タングステン線は入手して音を聴くことが出来るが、バリウムやストロンチウムは怪しくなる。偉そうにしていたが、こんな基本中の基本が分からなくては何とも情けない。かくして古典管フィラメント考は暗礁に乗り上げてしまったかにみえたが...

50暮れから正月はほとんど休まない、客先が休みになれば本業から離れて自由に思考できる至福の時、これを寝ているのでは勿体なくてやる。かくして1人プロジェクトxは1人24時間営業の1人3交代となる。酸化皮膜の謎は癪なのでネットの情報をかき集め推論した。
”酸化皮膜が剥離落下したものは救済できない”
”フィラメントの過電圧は酸化皮膜の剥離を進める”
”酸化皮膜が剥離落下したもはプレート電流が流れない”
”タングステン陰極で多数の電子を放出させるためには高温の必要がある。酸化物の付着は仕事関数の低いn型半導体として働き低温で多くの電子を放出する”
”初期酸化バリウム、次がバリウムにストロンチウムの2元酸化物”
Cx310たったこれだけの情報だが答えが見え隠れする。酸化皮膜が剥離落下したものはプレート電流が流れないとあるから、上画像50がもし酸化皮膜が剥離落下しているとすれば、フィラメント7.5v、1.25aの定格では露出したタングステンの温度は低く、熱電子の放出が無くプレート電流は流れない、となる。ここで横道、オークションで酸化皮膜型古典管を入手する場合は、酸化皮膜の落下の有無も重要な手掛かりとなる。高価な古典管の場合はこれを質問するのも必要で、答えられないような出品者は用心した方が良い。

Oxixxxバリウムにストロンチウムの2元酸化物が低温で熱電子を放出させる源でこの音を聴いていることになり、直熱管に拘ってきたがタングステンフィラメントに電流を流し高温にして、表面の酸化皮膜から熱電子を放出させるのでは傍熱管構造と同じよう見えるが、違いは絶縁構造にあるだけか?

Syukix_4しかし放出した熱電子の補充はタングステンが行うとなればタングステンの音でもあるが、その先延々と続く多種な金属の素材力学に支配される。まあ純粋に直熱管と呼べるのは、トリタンやタングステンやタンタルの金属露出フィラメントとゆうことになる。案外保守的で周期表からアルカリ土類金属は眼中になかったが金属元素に分類されおり、トランジスタのシリコンなどの半金属より身分が上で、一応味方としておこう。

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