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2016年12月31日 (土)

素材力学 鉄と戦う!5

Rafa同じく火災の間にある”カールの戴冠”に移る。パトロンのローマ教皇ユリウス2世のお陰で仕事は潤沢にあり、大きな工房も構えた。順風満帆だったはずだが1520年37歳の若さで亡くなり、天才とは寿命と芸術性の取引を常に突きつけられている。1960年代の後半、水木しげる先生も工房を構えてゲゲゲの量産を始めるが、ラファエロは500年も前に既に芸術へプロダクション制を導入していた。さてamp研究所の目指すものは、このプロダクション制へのアンチテーゼで1人プロジェクトxを実践する。最大のメリットは作品に満遍なく血が通い密度が高い、他人が入るとどうしても密度は下がる。ここが現代マスプロダクションの踏み込めない領域となる。

Ori古典管出力アンプの出力トランス(opt)の実験を重ねている。ノグチの普及品オリエントopt、同じくノグチのファインメットopt、しんがりはプライトランのトロイダルopt、これを水晶粒防振構造若しくは非防振構造でテストする。直ぐに答えは出るが、プレートチョークのように品種によるいやらしさが出ず、お代を含めたそれぞれの事情通りに鳴ってくれる。例えばカニンガムcx350の場合、3.7kΩ負荷時1次側には55maも流している。2次側には3wも出れば600maも流れるから、巻き線の銅には十分な電流が流れ、鉄のいやらしさが減少しているように思う。画像のノグチの普及品オリエントoptを完全解体して水晶粒防振構造にすると、途端に繊細で優雅な音になるから不思議だな。このトランスはパーカショニストnakaさんの2a3パワーアンプに搭載した。

Met続いてノグチのファインメットoptをテストする。このトランスは某アンプ作家が絶賛していたファインメットトランスで、日立とその褒め言葉に後押しされて導入を決めた。ファインメットやアモルファスは評価が分かれ、音が痩せるとか低音が出ないなどあるが、正にその通りで焦る。しかしそれはそのように表面ヅラはしているが実はレンジが広く100hz~200hzの低音域が聴感上フラットですっきりしているからそう感じていたのだろう。それが証拠にピアノの左手は沈み込みジルジャンは伸びやかで良い。しかし音にいっとう嫌いなヒリツキ感があって暗雲漂い、どうしたものかと思案する。

Priそこでamp工房のリファレンストランスであるプライトロンのトロイダルの登場になる。ハデさはないが音にねばり感としっとり感があり良いと思うが、日本での評価はイマイチ。このトランスで全アンプをまかなえれば問題は無いが、円安で高額となりお足を掛けず良い音を聴きたいamp研究所では少々無理がある。それともう1つ大きな問題がありトロイダルトランスが樹脂で固められ、完全解体できないから水晶粒防振効果が薄い。タムラのトロイダルのようにノミとハンマーを振るえば良いのでしょうが、ダメにしてしまう危険があり断念した。聴き込めば聴き込む程良いトランスだ。

Met2さて、上画像にあるようにノグチのファインメットoptを完全解体した。ファインメットと鉄心を拘っている割には、リード線が日立電線の工業用の音の悪そうなスズメッキ線で、モガミのofc線に交換しトランスのポリウレタン線引き出し部に直接ハンダ付けする。続いて鉄缶に入れて水晶粒細目を充填する。水晶粒防振構造なったファインメットトランスをカニンガムcx345パワーアンプへ組み込む。ほーらヒリツキ感は無くなり素晴らしい、人間ってチットのことはまあいいかとしがちだが、トランスリードを交換しただけで激変する。但し完全解体しないと出来ない技で、更に水晶粒が直接トランスコイルを押さえて防振するからワイドレンジに粘りと陰影が加わり、まあ及第点となる。

Pieta画像撮影:あんぷおやじ
なんせ黒山の人だかりに押しの押されのでストロボを使えない撮影はブレブレで、ようやく2,3枚の写真が使いものになった。彫刻家の安田 侃さんが500年前の彫刻を見て”もうやることが無い!”と言わしめた、ミケランジェロ若干24歳の作品ピエタ像。イタリアルネッサンス期に多くの天才が現れたのではなくて、現代も多くの天才は存在するが、あとは時代の後押しがあったかどうかで、天才を露出させるか埋もれてしまうかする。その時代の後押しは豊な現代社会では中々得られない。我らamp研究所には天才級など1人も居ないが、原資豊でない分、きっと時代の後押しがあって誰にも出来ないjazzオーディオが生まれると信じている。
来年こそは...

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