« 振動&素材力学 新 音の良い抵抗器作り編2 | トップページ | 電源力学 音色感度と電源の重要性 »

2017年1月 8日 (日)

振動&素材力学 新 音の良い抵抗器作り編了

Ito回路図出典:音響道中膝栗毛
伊藤喜多男先生の音響道中膝栗毛は愛読書で、明治生まれの粋な文体に感心しきり。多分もう時効だし、伊藤先生も先生のアンプも歴史になられたので、ご披露。伊藤先生のプリアンプ、we300bメインアンプ合計6台、さらにemt927の1台を修理に置いて行かれた、あのお大尽曰く”赤坂で芸者遊びくらい粋にこなせないと、アンプは作ってくれなかった!”でありました。

Ito2 伊藤先生1940年製作の50ppパワーアンプ回路はutcのカタログからコピーしたとあり、出処明快は明治男の心意気と捉えよう。カニンガムのcx350から50に変わったのが大きな転換点1933年で、1940年製作はrca50現役の時代だった。この回路を見れば信号経路に抵抗が1本も入っていない!
抵抗の素材はカーボンや金属皮膜(ニッケル、クロム)及び多用していたディールの巻き線抵抗(ニッケル、クロム)で出来ており、素材力学的に銅より音が悪い。伊藤先生の50ppパワーアンプはすべて銅線で出来ているから、音は現在より良いに決まっている。悪いとすれば電源の蜜結合状態や、音色で重要なコンデンサ類となる。だから言ってるでしょ、時代は進化していないって!

0_2したがって銅の抵抗に拘るが、現状では純度80%の銅マンガニン線となる。銅マンガニン線2kΩ抵抗の外形は、Φ200mmの高さ90mmの巨大となる。この容積は2.8リッターで水晶粒を充填すると2.8 x 1.68=4.7kg、これにその他の重量を加算すると5kgとなる。これを使用したラインアンプの外形は600mm角で高さが200mm程度、何とも馬鹿げたサイズだが誰にも表現できない音への探求と、現代オーディオテクノロジーへのアンチテーゼでもある。

1ofc0.2mm銅板による銅マンガニン線2kΩ抵抗用水晶粒防振筒の製作を急がねば、でありましたが早く音を聴きたいためにテンポラリーを考える。Φ200mmの紙管では、製作に丸1日掛かってしまいofc銅板と変わりない。そうだ、100均だ!クリスマスシーズンも終わりギフトを入れる紙丸箱が山積みされている。そこから2種類の紙丸箱を選んだ。ここが水晶粒防振構造の威力で、紙箱でも何ら問題ない。まあ、しくじっても100円です。

3100均のギフト箱とバレてはいけませんので、画家の本分たる塗装に移る。せっかちであるからして、塗ったそばからヒートガンを使い強制乾燥させる。この手の水溶性塗料の乾燥速度は、湿度の問題よりも温度で高温にすれば直ぐに乾く。1度塗りでは綺麗に仕上がらないので2度塗りするが、この作業はキャンバスのファンデーション仕上げと同じで慣れており、決してペンキ屋さんではありません。

4オヤイデさんから届いた0.12mm銅マンガニン線は依頼どおり26mで切断してある。これを解くとキンクが出来て自分で勝手に絡んでしまい、大事になった。形状記憶金属のように丸まり掛かり、マンガニン10数%は線にバネ性を持たしている。そこで黄色丸印のようにアルミの円柱に入れて、巻きながらコロコロ回転させるようにした。常にテンションを掛けないとキンクが直ぐに出来てしまい、巻き終わるまで息が抜けない。花園の高校ラグビー決勝戦を見ながらひたすら巻く、巻く、手は痛く疲労困憊、青丸印が出来上がった抵抗です。

5更に災難は続き、細目の水晶粒が無い。真夜中ではアンプラボの研究員に水晶の件で電話する訳にもいかない。絹巻き線径が0.2mm程度では微細な水晶粒を使わないと防振効果が薄れる。仕方がないので中目細目の混合水晶粒を使い黒塗りケースに銅マンガニン線抵抗を入れて、水晶を充填する。作業完了は遂に日が変わってしまった。

6cx350のプレート電圧を上げないと所定のプレート電流にならないが、先を急ぐためそのまんま(黄色丸印)組み込んだ。バイアス調整をして12maまで電流を流し良しとした。目標値は25ma。音を出す、真夜中では流石に大きな音も出せないし研究室の西側窓は防音処理も無く、アパートが隣接している。音出しの瞬間、あ~良いじゃあない!苦労が報われた。厳密な試聴は夜が明けてからとしよう。それにしても高校ラクビー決勝戦で東海大仰星が東福岡に負けたのが悔しい、1トライ差か...

Spell jazzオーディオ装置の完成度が上がると(音色特性、位相特性、空間特性)、cdの選り好みはしなくなる。装置がとろい内は出来るだけ良い録音のこけおどし的cdをかけて、研究員達を煙に巻こうとする。まったく何時になっても自信が無いものだから、スマンです。まあ、jazzオーディオの自信は過信であるから、何時も自信の無い方が進化するとも言える。ここで勝負!こけおどし的凄録音のスリーブラインドのcdを止めて、何十年も聴いているガボール・ザボ、コルトーレーン,インパルス、ビル・エバンス,リバーサイド、バド・パウエル,ブルーノートをかける。

8_2これらのcdはオリジナルレコード盤を持っているから、音の凄さは熟知しており、要するに得体は知れている。位相や空間特性は後回しで音色特性に集中するが、バド・パウエルの録音の年代で直ぐに馬脚を現し、スタインウエイが凄い音色の表現をして自信を持ったり、カサカサの音色で自信を無くしたりバラツキが大きく、銅マンガニン線2kΩ抵抗の結論は今までのベストだがまだ物足りない。但しタスカムの安物cdとjazzの苦手なスキャンスピークでの評価は、割り引いて考えなければならない。いずれにしても新、音の良い抵抗器作り編は了として、次なるアイディアを捻り出さねばならない。

|

« 振動&素材力学 新 音の良い抵抗器作り編2 | トップページ | 電源力学 音色感度と電源の重要性 »