音色力学 tsd15mcトランスとイコライザアンプ1
名工ミルトさんがt-mon君を連れてmcトランスの実験にみえた。そのt-mon君はGabor Szabo(ガボール・ザボ)「Jazz Raga」のcdを執念で探し当てたようで、持参してきた。音出しした瞬間に「これはエライことだ!」ガボールザボフリークはたまげるのでありました。名門インパルスのリマスタcdの比ではない。こうゆう事件は余り遭遇したことが無く、これだから音の良いcdの出現に困り果てる。レコードオリジナル盤に比して情報量は桁違いで、音色は突き抜け、楽器の定位は空間に広がり固定される。一体50年間何をしてきたのだろうか?
詳細に調べてみた。発行元はLight In The Attic...llcで小さな会社だ。小さな会社でレコードオリジナル盤を遥かに超える音質が出来る魔法とは一体?全く痛快に思うが2度と手に入らないcdだからミルトさんにお願いしてコピーしてもらうことにした。「この音を聴いたら家で聴けません...」はt-mon君「ここに至るまでに50年も掛かった...そうゆうコトですよ」するとミルトさんが「50年掛けても出来ませんね」
emt tsd15用のmcトランスはパートリッジを使っているが、音色は結構気に入っている。水晶粒防振構造化の際に解体したら、パーマロイの30角位のコアに膨大な巻き線が施され防振のしようがなかった。且つQも大いに悪そうなコイルだった。それを見てmcトランスなんか出来ようもないと諦めていた。ところが高透磁率のスーパコアのせいで出力トロイダルトランスは磁気飽和を起こしてしまい難儀していた。そうだこれを逆手に取ろう!かくして高透磁率のコアで高巻き線の出力トロイダルトランスをmcトロイダルトランスに変身させた。
mcトロイダルトランスは1次巻き線50Ωでカルダス3.5スクエアを使い、2次巻き線52kΩはΦ0.3mmのポリウレタン線を使い、レシオは32倍となりtsd15の0.2mvを6.4mvまで昇圧する。2次巻き線の一端にはマイナスのバイアスを加えて抵抗は使わない。それを2c52へ入れて増幅、プレートチョークはΦ350mmのトロイダルコアにΦ0.3mmポリウレタン線を巻いて140h以上を作る。
回路図はこれ。cr型イコライザはインピーダンスを2kΩのパワー型イコライザとする為に2c52の回路図の1段を増やした。cr型イコライザが通常の100kΩクラスならばこの2c52の出力に接続できる。2kΩにすれば抵抗成分は全て銅マンガニン線で巻くことが出来る。
オシレータsg55を使って2mvを出すのがやっと。ノイズに埋もれて確認のしようがない。Qが低いせいか?1次均等巻きのせいか?20khzを簡単にクリアした。どうせ10khzしか聴こえないから十分過ぎる性能。次なる問題は低域でここはインダクタンスで決まり、オシレータがついていけなくて何とか10hzを出せたし20hzでは安定している。我らの使用領域の50hzでは全く問題ない。
mcトロイダルトランスの見通しがついた所でミルトさんの登場。テクニクスのslにオルトフォンのmc20がついた物が調子が悪く出力が出ない。「店にカートリッジを取りに戻ります」と戻られた。雨の中、次にみえた時は何とemt930を持ち込んでくれた。高額で重量級のemtの持込には感謝。
denonのテスト用レコードをかけてtsd15の動作確認をする。音を聴いた訳ではないがカルダス3.5スクエアの1次巻き線の威力は出力トランスで証明済みで、今はcd、cdと騒いでいるが、mc用水晶粒防振カルダストロイダルトランスとパワー型crイコライザ素子で、レコードオリジナル盤の真骨頂が実現できるかも知れない。
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