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2019年5月 4日 (土)

無帰還力学 ターンテーブルddモータの3相誘導電動機とヒステリシスシンクロナスモータの考察6

5031とにかく理屈をこねているより先に行動の人が名工ミルトさんで、早速sosのメールが入る。「昨日3相誘導電動機が入荷したのであんぷおやじさんの数値を参考に回してみました。ag1200出力2.9hz、0.5v、amp出力約6.8vで正確な33回転が得られましたが、無負荷のため小刻みなコキング発生。(注:これはコギングではなくて振動になる)2.9hz、6.8vの超低電圧無負荷でもコギングの発生を抑える事は可能か?低回転のためアンプのパワーを食うらしく冷却ファンが盛んに回ります」。そこで早速telする。「ゴールデンウイークでお客さんも来ないから暇でしょ?」「はい」「じゃあ、直ぐにモータを持っておいでよ」

5032ミルトさんの3相誘導電動機も新品に近い美品で素晴らしい。早速モータの整備を始める。シリコンシーラントで密閉されたインローを大ハンマーとノミで叩いて分解、インローのシリコンシーラントをカッターナイフで丁寧に削ぎ落とし、後に簡単に分解組み立て出来るようにする。続いてシャフトの研磨、ベアリングのグリス除去、これでだいたいは仕上がり再組み立てする。

5033ミルトさんの手が借りられるならばと、ラックスマンpd-171の試作プラッターをロングシャフトの端面に取り付けることにした。モータはデカいしシャフトは長いし、高さのあるボール盤など持ち合わせていないので、電気ドリルで垂直に気を付けながら穴を開ける。これが案外軟い鉄材で10mm位の深さに簡単に穴が開いてm4のタップを切る。なぜm4かと言うと、正式に開ける際に影響がない小さなネジとしたためです。芯出しはかなり怪しくダイナミックバランスなんか取れようもないが、まあいいか。無事プラッターが取り付いた。正式にはラジアルボール盤のある知人の機械加工屋さんへ持ち込む。

5034底面に水平確保の大型ワッシャーを入れてある。このロングシャフトは水晶粒防振プラッター厚さ100mmの際に、水晶粒に直付けで防振を施すから長いほうが良い。

5035ミルトさんに手伝ってもらうと仕事は速く、1時間で完了した。そこでいきなり回転させる。「お~、33回転の同期が取れている!」ミルトさんが叫び、ストロボ盤を見るとなんと振動っぽい動きは皆無で、この段階でターンテーブルddモータの3相誘導電動機の完了が見えてしまい、ヒステリシスシンクロナスモータの開発は必要無くなった。まだ...何もやっていない段階なのに、これはエライことになった。しかし正直ホッとしている。原資も無いのに、ヒステリシスシンクロナスモータの開発となるとリスクが大きすぎる。以降のエントリーからヒステリシスシンクロナスモータ開発は消えます。

5036長年ターンテーブルの開発をやっていると、ストロボ盤のシマシマの動きでたいがいのターンテーブルの健康状態は読めてしまい、3相誘導電動機ddターンテーブルは素晴らしい。速度帰還の掛かったモノはどうもこのシマシマの動きが滑らかではないが、しかし自分でpid制御をやっているから贔屓目に見て合格としてしまう。そんなもの一切関係無しに滑らかに同期が取れる。

5037だから言っているでしょ、sp10等のモータはプラッターを外したらガタガタ回りで、これでレコードなど聴けない。ミルトさんの無負荷の時も同じで、コギングと言っているがトルクが強大ですべり無しの同期速度に入る、外れる、の振動が出ている訳で、少し電流を減らして同期から外しすべりを活性化させオフセットをつけておき、このすべり量を一定にする。これが3相誘導電動機をddターンテーブルに使う極意になり、すべり制御が全てを制する。これを模したものが磁石付きddターンテーブルのpid制御で、あんぷおやじ流儀はベストなワウフラを記録している。我が方は無負荷でも無振動の調整は見事にやってのけたが、プラッターとゆう慣性と粘性負荷の搭載で一気にすべり制御が楽になった。

5038次なるはデータの採取と振動の傾向を探る。3相のバランスは取れていない悪環境で33rpmの同期は取れたが、トルクリップルがあり潜在的に振動要素を持っている。よってsh2acpuで作る時は0.1%程度の精度で合わせる。3相サイン波発生器からの電圧は概ね1.6vrms。

5039その時の出力電圧は約10vrmsで、以前のエントリーでは20vrmsとしたがデータの間違いでした。

5041今回は0.2Ωの抵抗を3相へ入れて、実際の負荷電流を測定する。駆動電圧10vの時に1.1aとなり、力率をとりあえず1として√3eicosΘ=19wと出て、概ね20wの3相誘導電動機となる。定格出力200wの3相誘導電動機が1/10の20wになれば超低速でも同期が取れる。

5042次は駆動電圧限界値を探る。同期が何とか取れている駆動電圧は3.5vrmsと、とんでもなく低い電圧になった。

5043その時の電流は370marmsとなり、出力は約2wとなった。恐るべし柔軟性!トルクは固定子電流と直交に交わる回転子電流と相互インダクタンスのmを掛けたものだから、電流アンプにするのが正解になる。しかしここで電流帰還用の電流センサーとadコンバータと高速プログラムが必要になり、やった所で音が画期的に良くなるとは考え難い。学術的には格好は悪いが、いや3相誘導電動機を開発に使うところから既に格好悪いし、論文を書いたところで電気学会では受け付けてもらえない。通常の電圧アンプにしておいて、巻き線温度上昇が飽和したら周波数を微調整して同期させる。一切の帰還を掛けず人間サーボロックでいくべきだし、格好悪くても音さえ良ければ問題ない。

5044その時の論より証拠画像。但しほんの僅かずつだが遅れがあるがまあ、少しずつは中々耳では分からない。

5045電流を増加させて振動が出始める駆動電圧は、たまたまramsaのwp-1100の出力限界に等しく14vrms。

5046その時の電流値は1.5armsとなった。この時の出力は36wとなり、2wから36wの間でプラッターの負荷バランスを取れば良い。これはロボット屋でないと分からないが、ロータイナーシャと負荷イナーシャの関係はメカニカル時定数となって、如何にデカいロータで回すかに掛かっており、これで制御はいっぺんに楽になる。小さいモータで大きなプラッターを回すのは難儀する。まあ、何をしても回るけどね。

5047奇想天外も実現してしまえば当たり前で、世界中で出来ることを誰もやっていなかっただけで発明でもなんでもない。特許も出す気は無いから一応ブログ上の著作物としておく。トップランナー制度が厳しくなれば大量の3相誘導電動機が廃棄処分となり、ターンテーブルに応用した所で僅かしか需要はなく救済にはならないが、emt927が欲しくても買えない御仁には朗報かも知れない。ミルトさんのemt930の3相サイン波駆動で明らかになったように、レコードはモータが音を支配していると考えると、emt927,930より遥かに大きい3相誘導電動機の底力は知れず、且つ世界初の無帰還ddターンテーブルの音に対する未知数は計り知れず。これにて3相誘導電動機による無帰還ddターンテーブル化は見通しがつき、emt927&930用古典管3相モータアンプシステムと併せて、来春までに製品化をする予定です。

5048画像は低コギング扁平モータ
もう15年も前になるが、yモートルの社長に音楽先輩がなられた時、北九州へ何度も訪ねてモータのノウハウを教わった。当時は磁石付きddターンテーブル開発真っ最中で、如何にコギングを無くすかに腐心していた。yモートルさんも丁度分布巻きから集中巻きへと原価低減が進み、如何にコギングを無くすかの研究中で大いに参考になった。音楽先輩の社長に是非多相の誘導電動機を作って、世界一のターンテーブル用モータを共同研究しませんか?とお誘いしたら、すぐさま社内報に記事を載せられた。ところが音楽先輩はy電機本社の常務に栄転され、この話は無くなった。いくら磁石付きddターンテーブルをがんばってもdp-80に勝てなかったし、dp-80はemt927に勝てなかった。だから、acモータである多相誘導電動機がベストだな~と漠然と思っていた。その夢にまた一歩近づいた。

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