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2019年5月28日 (火)

音色力学 古典管ラインアンプ カニンガムcx350 8

5254さて、ここでもう一度佐久間さんの偉業について触れておこう。最近また県立総合へ通う日々が続いている。検査のためで、検査して1週間おいては結果の確認の繰り返し、控えの席は患者で溢れ返り、まるで野戦病院の如しです。待ち時間が多く、佐久間さんの直熱管アンプ放浪記と続を丹念に読んでいる。すると例のトランスでサンドイッチしたボリューム方式が、ある日を境に全部に適応されてくる。但しボリュームは8Ωではなくて150Ωとなっているが、まあニッケルクロム線の巻き線抵抗ならばほぼ同じ音色となる。決定的は「続 直熱管アンプ放浪記」で、ボリュームは全て巻き線型ボリュームの100Ω~300Ωに集約されている。これが佐久間駿流儀の音色力学で、佐久間さんは芸術的嗅覚でこれを嗅ぎ分けた。カーボンボリュームやお化け切り替えスイッチ+カーボン抵抗ボリュームは、いくらがんばっても太いニッケルクロム線の音色は出ない。まあこれらチープなカーボンボリュームで良しとしているオーディオシステムは、音色感度が極めて鈍い、とゆうことになる。

5278また、佐久間さんの音はトランス多用でナローレンジと判断される御仁も多いが、それは当たらない。佐久間さんの好むjazzやクラッシックは年代物が多く録音自体がナローレンジだし、使っているスピーカシステムもナローレンジだし、佐久間式チューニングはナローレンジの方向へ向かっているだけで、アンプ自体はナローレンジではない。物事を判断するには客観性が大事で、前述のような全てを見通してからナローかワイドか判断すべきでしょう。第一トランスのレンジが狭いなどと言ったら、世界に冠たるタムラ製作所のオーディオトランス設計者が怒るに決っている。

5271名工ミルトさんに古典管ラインアンプ用トロイダル出力トランスΦ400mmの1回目の巻き直しをお願いした。連日のトロイダルトランスの巻き直しで、少しずつではあるがオーディオ用の各種トランスのノウハウが手に入ってくる。しかしながら如何せん遅すぎた。若ければ確実にベンチャーを興していただろうが、我ら凡人は思想信条の熟成には時間が掛かり過ぎ、残念なのであります。900ターンを2層巻いて、更に300ターンを追加巻きしてもらった。早速cx350でラインアンプとしての特性を採ると、パワーチャンデバ負荷抵抗を2kΩとした場合には20hzからフラットに出始めて、これは凄い!但しラインアンプ用で次段インピーダンスが高い場合の話で...ここから1つの結論が見える、低域を出すには沢山のインダクタンスを!となり巻き数を増やし、磁気飽和対策で通常のトランスならば磁気ギャップで調整するがトロイダルトランスでは透磁率で調整する。今回の透磁率の低い鈍コアならば現在の1000ターンから2000ターンに倍化しても問題ないが、1次2次ともでは4000ターンも巻かねばならない。

5272ラインアンプ用の出力トランスの巻き数が決った所で、ハッと気が付いた。せっかくだからこのまんまでcx350シングルパワーアンプの実験もしよう。スピーカはScan-Speak 15W/8530K00の水晶粒完全防振構造化したものを、実験室から引きずり出した。cdpはソニーの337esdとした。但しcx350シングルパワーアンプもどきは1個しかないのでmonoで実験する。

5275先のトランスの1次側を900ターンx2の直列接続にし、これの1/18(レシオ)で300ターン追加巻き線から100ターンを出した。結果1次1800ターン、2次100ターンの出力トランスに変身した。2次側に16Ω接続すると1次側は16Ωx18の2乗=約5kΩ相当になる。そこでcx350の動作特性からプレート電圧とグリッドバイアスを引き出しセットする。350管の問題点は大きな励振入力が必要で、しかしhp 8903B Audio Analyzerで最大の6vまで出すと励振用で用意したramsaのwp-1100が31vの出力電圧でクリップしてしまい、正式な実験にはならない。それでも周波数特性はある程度見られて20hzは波形歪みが大きく、30hz位からは何とかなる。ここが正式になれば更に低域実用周波数は狭まる。

5273ここからさっきの文言「1つの結論が見える、低域を出すには沢山のインダクタンスを!」、また巻き直しかい!ミルトさんに迷惑を掛ける。計算式に乗らないのは動作条件がインダクタンス測定時と350シングルアンプ時では異なり、透磁率に差が出ることでやむを得ない。現状では限界のcx350シングルパワーアンプ実験装置が出来たので、早速音出しをしてみた。こんなバラックでも、のっけから良い音が出てたまげる。

5276Scan-Speak 15W/8530K00は86dbと能率は悪く、altec515bは105db驚異的能率で19dbの差がありこの程度のパワーでも聴いてられないくらいの音量になるはずで、しかも低域は品格のある音で、これで完成としても良いのではないだろうか?自分用ならば迷わず完成とするが、ミルトさんの分も兼ねているから迷う。

5277そこでwp-1100の代替品アムクロンのce2000txモータ用アンプを持参してもらい、ミルトさんに来店頂いた。例のジェイ・マクシャンのcdをかけると「しなやかで品のある音!」とミルトさんはたまげる。キリストの言葉に「貧しき者は幸いなり」とあるが、それになぞらえて「耳貧しき(耳が悪い)者は幸いなり」としよう。ミルトさんもあんぷおやじも耳が悪い、こんな極端なトロイダルトランスを作って音を激変させると、ようやっと音が分かる。金田式のre55金属皮膜抵抗の音の良い方向が分かったり、ダイエイ電線の音の良い方向が分かる凄耳に比べたら駄耳で、当時は随分劣等感があったが最近はそれで良いと気付いたのだから、人生何が起きるか分からない。ミルトさんに1000ターン分の1層追加巻きをお願いした。これで1次3000ターン、2次レシオ18として170ターンカルダスケーブル巻きで、cx350シングル出力トランスまで決定した。

5279まずいインスタントコーヒーを飲みながら(閉店後は面倒でタダコーヒー)ミルトさんと密談する。「今度のamp研究会で面白い実験をやろう」「何をしますねん」「グリッドバイアス、プレート電流、プレート電圧の決定は世界初でいこう!」「どうゆう風に?」「t-mon君に良い悪いの2択で決めてもらい、それで各種ハードパラメータを決定してアンプ設計者がやらない」「それは凄い!」

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