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2019年6月25日 (火)

音色力学 Western Electric 87A Amplifier の音太解析

06251Western Electric 7A Amplifier の回路はトランスしかない。これを原始的と捉えるか?はたまた最先端と捉えるか?勿論後者で、7aにやられてカニンガムcx350古典管パワーアンプを作った。これが滅法図太い音で大いにたまげた。この7aアンプに使われている金属素材はトランスの銅線だけで、オール銅は音を膨らませて(太筆のようにボケる)音を太くすると確信した。長年素材力学は「オーディオは純銅に限る!」と進めてきたが、jazz表現を豊にする金属素材は銅に尽きると思う。時代の進化と共に別な素材に置き換わり、そのことによる損失より便利さや原価低減を優先したばっかりに、jazzの音楽の大切なものを失う事実に気が付かなかった。気が付いた時は時既に遅しで、Western Electricの諸々は高嶺の花になってしまった。さて、それならばweの親分Western Electric 87A Amplifier の解析をやり、音太音色力学の根源を探ってみよう。

06256x回路図はこれ。1922年のWestern Electric 7A Amplifier から12年が経った1935年に登場したWestern Electric 87A Amplifierは、トランスだけから姿を変えて抵抗とコンデンサを使っている。これは抵抗とコンデンサが進化して、実用に十分耐えるようになった結果でしょう。また出力管に284dを使っており、送信管にも係わらずこの時代はまだ金属板(ニッケルか?タンタルか?)でグラファイトなど使っていないから音色力学上の問題は無い。87aはなんと言ってもトロイダル型出力トランスで、超有名なd-95659やd-98539が使われており、we 7aの時代とは比べ物にならないくらい程性能と音が良くなった。

06253xxここで抵抗とコンデンサの部分を調べてみよう。上記回路図からメータ部(青ぼかし丸部)を省略して分かり易くした。青丸印のカップリングコンデンサは容量が少ない場合の苦肉の策で、現在のように大容量のコンデンサが容易に出来る時代はこの回路は使わない。注目はカソードの付属物スタンダード赤丸印の抵抗とコンデンサで、87a回路では僅か1個ずつしか使っていない。コンデンサはオイルペーパーコンになり、抵抗はニッケルクロム線になるから音色劣化は僅少。ここで音色加減算が行われ、トランスの銅の方が多く支配するから音太になる、と解析した。教訓だが、現代は赤丸印のコンデンサに音の最悪な電解コンデンサの100μfクラスを使っている。これをwe87の回路に戻したらどうだろうか?音の良いofc純銅オイルペーパーコンデンサ1.0μfを赤と青丸印部に投入して電解コンデンサを除去する。低域の時定数は青丸印の抵抗で決める。凄いことになるは間違いなし。

06255こちらがwe87のリアパネル。トランスとチョークコイルがぎっしりで、現代の真空管アンプとは随分趣がちがう。現在もトランス結合が根強く残っているのは、古典管の大きな励振電圧を稼ぐためよりも、音色が良く音楽表現が素晴らしいに他ならない。くどいけど、それが音色力学の銅を多用するに繋がる。weのトロイダル型出力トランスd-95659やd-98539を超えるトランスが現れないのは、we300aを超える3極管の登場が無いのに同じか。

06258見ても見えない、聴いても聴こえなない。見えれば描くことは出来るし、聴こえれば音を作ることが出来る。これは絵の上手さとか耳の良さとは殆ど関係なく、頭脳に形成された感性によると思う。見えて聴こえる御仁ならば間違いなく、Western Electric 7A Amplifier やWestern Electric 87A Amplifier の回路に感動を覚えるはず...
余談です。
画像はフィレンツェのウフィツィ美術館で見たカラバッジオのバッカスで、これに衝撃を受けて大嫌いな無頼画家に参ってしまった経緯がある。カラバッジオの絵には何よりも色の濁りが無い。絵画の勉強を本格的に始めた頃は印象派だったが、濁った色まで操る凄い時代で、これこそが時代の進化だと気付くのにウフィツィまで行ってだから、何十年も掛かってしまった。オーディオは「濁りまで操る凄い時代を遠慮して、あくまでも濁りの無い色で再現しなさい」とカラバッジオから諭された。

06259Western Electric 7A Amplifier で興味深い記事を見つけました、ご参考に。
Western Electric, 7A , 216A, 1922-24 ?
Flawless design, no hum, no resistor noise, no capacitor blocking.This is one of my favourite Western Electric amplifier design.At the days when it was made the components was not a thing to brag about,but keep in mind that this was a repeater amplifier – made for telephone communication.Build it today with high quality tubes and transformers and you will have a top class amplifier. Western Electric was a sub-division under the Bell lab. ( Graham you know – ding ding , does that ring a Bell ? ) 
特にこの文章です「Build it today with high quality tubes and transformers and you will have a top class amplifier.」世界にはweに限らずアンプを深く理解した猛者が居ることをお忘れなく。

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