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2019年6月15日 (土)

量子力学 古典管フィラメント考 了

6151出展:クラシック・ヴァルブコレクション 出版:誠文堂新光社
大塚久さんの力作クラシック・ヴァルブコレクションを読んでいるうちに、遂に見つけてしまった。第一次世界大戦中の真空管「aeg-テレフンケン re16」は、プレートが銅で出来ている。ディフォレストのオーディオンにしてもグリッドは銅線をグニャグニャ曲げて作っていたから、初期段階は銅材が結構使われていた。しかし真空管内部はフィラメントの熱に晒されて軟い銅は変形が起き使用に耐えず、音の余り良くないニッケルやタングステンに替わった。真空管技術の伝統はこうして作られていき、jazzオーディオにおいて真空管の担う音の重大性など誰も予想できなかったから、銅の出る幕は無くなった。原資豊かな中堅企業などが真空管の復刻を盛んに行っているが、素材力学の重大性に誰も気付かない。ニッケルやタングステンや今日のハイテク素材を揃えて古典管を追っているが、追っている限りでは本当のjazz再生用真空管の登場は無い。
出でよ、本物の真空管開発者!

6152銅マンガニン線のハッとする美しさにやられて、もっとハッとさせようとオヤイデへΦ1.0mmの銅マンガニン線を手配した。1mで0.56Ωだから2Ω/0.56=3.6m必要となる。これをΦ150mmの紙管へ巻きつけた。Φ1.0mm銅マンガニン線は硬質でスプリングバックで直ぐに解けてしまう。これを丁寧に巻くには相当難儀する。音質のテストだからとピッチ不揃いの汚い巻き線で良しとした。

61535分で巻けるから直ぐに音が出る。予定通りの音質で初期の銅マンガニン線Φ0.07mm5本パラにと比較したら、音は太くなった。線径と音の太さは直接的でないが、初期の0.07mmは在庫品を無理して使ったためで、いささか細すぎた。と、ここまで音質カイゼンが進めばたいていは十分に満足して終わるのだが、オーディオ忙走族は忙走が始まったら、もう誰にも止められない...

6154xe-の動きは前エントリーの通りかどうかは妖しいが、金属原子の世界へ入って見てみたいものだ。e-の出所はトランスだよな~、さすればトランス内部でe-の動きの良いモノとは?ハッと電灯が点く如く閃いた。そうか、せっかくトランスでe-の動きを良くしても、ダイオードやトランジスタや抵抗やコンデンサで捻じ曲げられ、e-は苦労しているに違いない。トランスだけにしたac点火が正解だったのだ。ところが古典管は直熱管だからフィラメントが交流では盛大にハムが出る。そこでハムバランサの登場、これもe-の動きを悪くする。意地でもトランスだけでやったろ!慌てて名工ミルトさんにtelする。仕事が終わった帰りに寄ってもらい、密談する。「ハムの出ないフィラメント専用のアイソレーショントランスを作ろう。結合係数は最悪になるが、ここは意地でも平面対向巻きにしようぜ」「ようがす!」と相変わらず凄いファイトで巻き線を引き受けてくれる。

6155次の日の夜cx350用フィラメントトランス(上画像)が届いた、早い!Φ400mmトロイダルコアへ1次側Φ1.0mmポリウレタン線を500t、2次側に38tと巻いて、画像の如く1次と2次の間がとんでもなく空いているアイソレーション構造とした。ミルトさんの静電容量測定では85pfと思ったほど小さくならない。通電確認をすると案の定ハムは出る。シマッタ~、トランスの問題ではなくac点火の場合は仮想中点のバランスポイントを接地をしないとハムは出るのだ!まあそれでもハムを無視して、音だけを確認してみた。とんでもないガボール・ザボのグレッチ&シタールが出現して、ミルトさんと顔を見合わせる。遂に々核心に近づいたか?翌日オーソドックスな手法で7.5vへセンタータップを付けてgndへ落とす、ピタッとハムは止まりメデタシ。平面対向巻きトロイダルトランスの巻き線のピッチを広げてacバランスの微調整を可能にすれば、ハム問題は解決する。ハムが消えたら60hz付近の相殺勘定で消えていた低音がドスドスと出始めたから、さあ大変!

6156直熱管フィラメントのdc点火法はハム除去においては有効だが、jazzエネルギーを消すマイナスの効能もあり、amp工房ではイコライザアンプ以外は交流点火とする。またcx350フィラメント専用トランスを投入するコトで、プレートとカソードの身分は同等となる。こうなりゃあ、メインシステムのカルダストランスから電源を分岐して正式に音質を評価しよう。

6157今度はcdp-337esdのdac部分の役不足に気が付き、遊んでいたdc-80ディスクリートdacを登場させる。このdc-80は使用に当たり、簡易水晶粒防振構造にしてある。途端に解像度とjazzエネルギーが上がり、ディスクリートdac重要性の再認識となった。

6158そうなればcdpも役不足で、メインシステムのフルチューンcdp dp-80からデジタルをモガミの2497でdacまで送り込む。かなりメインシステムから実験システムへ移行しているが、実験の成果の検証でやむ得ない。

6159古典管cx350パワーアンプは単管アンプで、専用のラインアンプを必要としているが間に合わないためアムクロンを使った。このアムクロンのce2000txは古典管cx350パワーアンプのドライブ段として機能しており、古典管とトランジスタアンプのハイブリッド構成となる。ce2000txとcx350の接続にはフィルムコンデンサが使われており、ここをofc純銅オイルペーパーコンデンサにすれば、実験システムは完璧になるが、コンデンサが無い。あっ!現在のcx350パワーアンプにコンデンサがたくさん内蔵されている、これを外して...
いかん、いかん、フィラメント考が主題なのに本末転倒になるになるところだった。この際だからハム発生要因の解析をやり、平面対向巻きトロイダルトランスの巻き線構造でハム退治をすればこのトランスが生きてくる。トロイダルトランスの2次側はカルダスケーブルの5.5スクエアの太線を巻いて、フィラメントへ良質なe-を力強く送り出そう。
これが古典管フィラメント考の結論です。
61591x余談です、
1930年のカニンガムcx350は実に90年前の工業製品です。実験は過酷で、プレート電流を200ma位も流したりプレート電圧に500v超を加えたり、フィラメントに至っては9vも加えたらミルトさんに「やけに明るいね~」と言われたり、地獄の責めをしている。にも係わらずビクともしないカニンガムさんに感謝と万歳を!

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