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2019年6月 5日 (水)

音色力学 古典管ラインアンプ カニンガムcx350 12

605001602年に描かれたサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会(San Luigi dei Francesi)のコンタレッリ礼拝堂にあるカラヴァッジオの「聖マタイと天使」は未見で、何が何でも観てみたいが諸般の事情で中々ローマへ行けない。以前のエントリーで「天使が頭上に現れ絵画の構図としたら非常識極まりない」としたが、天使の頭上に現れる絵画は多く存在しており、過去から何がしかのヒントを得てこのような発明で斬新を生み出していると思う。無から有を生み出すは神にしか出来ない技で、人間は無と有の中間、すなわち希薄な有からさらなる有を生み出す訳で、それが歴史の重要な意義でもある。かくして多くの先達が作り上げてやりつくしたはずのトランスを、今更ながら日々製作に励んでいる。無から有ではなくて、漠然としたカオスでしかも希薄な有から、明快で確かな有を生みだそう。

6051とにかく重たい。
名工ミルトさんがΦ400mmトロイダル出力トランスを搬入してくれる。Φ1.00mmofc純銅ポリウレタン線が3層に渡って整列巻きしてあり、この純銅素材だけでもかなり重たい。巻き線データ、5月31日、ミルトさんΦ400mmトロイダル巻き線、ac100v測定、1次巻き線 7.9h 904t、2次巻き線 7.5h 885t、3次巻き線 7.7h 899t、1次+2次=22h、1次+2次+3次=40h、合計巻き数 2688t、2次巻き線 2688/18= 170tとなる。

6052 出力トランスのレシオはプライトロンに習い18:1とした。従って上記計算通り170ターン巻くことになる。1次側はΦ1.00mmofc純銅ポリウレタン線を2600ターン~2700ターン巻き、2次側のカルダスケーブルの3.5スクエアは流石に贅沢で、今回から1.5スクエアとサイズダウンして170ターン巻くことにした。この1.5スクエアサイズダウンには重大な意味も潜んでいる。画像のように0.75スクアエvfsを170ターン巻いたが、まばらになり高域結合係数が落ちる。1.5スクエアのカルダスケーブルを2本同時巻きとしてまばらを排除して高域結合係数を上げる。結果2次側は3スクエアとなって従来と比べても遜色ない。

60535151b用低域Φ400mmトロイダルトランスと、288-16g用高域Φ350mmトロイダルトランスの勇姿をご覧あれ。出力トランスを帯域で分ける方式は意味深く、巻き線技術があればクロスオーバー周波数でハイパス、ローパス6db減衰は可能になるからチャンネルデバイダは必要なくなる。この期に及んで新しい考え方が次々に沸きあがり、希薄な有が明快な有として姿を現しもうヤバイぜ!これでは一向に終息へ向かわない。今回は300hzでクロスさせるから、低域トランスの300hzより高い方を6db減衰させる巻き方は?高域トランスの300hzから低い方を6dbで減衰させる巻き方は?勿論今までのしくじった巻き方で自然に出来ているから、出来るには間違いないがいささか冒険過ぎるし、納期遅れを大幅に出したのではミルトさんに申し訳ない。まあ、とりあえずこのチャンデバ排除のマルチアンプシステムのアイディアも著作物としておこう。

6054一応cx350用のΦ400mmトロイダル出力トランスが出来たので、早速音を聴いてみた。ミルトさん表現の「しなやかで品格のある音」から外れて少々ヒリツキ感が出てしまい、原因は普通のΦ1.00mmポリウレタン線で3層目の899ターンにある。直列接続だから何処かに一部でも音の悪い素材が入ると音は崩れてしまう。続いて「オーディオは測定器の奴隷ではない!」佐久間さんの名言に似せて粋がる程の自信もないから、気にしている歪み率を測定してみた。

6058まず20hzを測る。「20hzなんか必要ないって言ってたじゃあないか!」のお叱りを受けるが、トランス屋としたら限界値は知っておく必要がある。水平軸10msecで50msecだから20hz間違いなし。上下非対称歪みの極致だ。

6059hp 8903B Audio Analyzerで歪み率を測定する。23.23%ととんでもなく大きい歪みで、もういけません。2688ターン巻いても低周波の20hzは無理で、タムラの10hzトランスなんかどうして巻いているのだろうか?

60591しからばこれはトランスの問題なのか?そこでプレートからカップリングコンデンサで励振交流電圧のみを引き出し、ここの歪み率を測定してみた。何と22.65%でここから23.23-22.65=0.58%で20hzトランスの歪みは問題なく、なんだい20hzのトランスは出来てしまったじゃあないか!

6055それでは常用の50hzではどうなるだろうか?水平軸4msecで20msecだから50hz間違いなし。20hzに比べればだいぶ上下非対称は減った。


6056上記と同じように測定すると歪み率は12.66%で、最大出力とすればまあまあの歪み率で許容できる。16Ω時の1khz電圧は8.12vだったから4.12wと最大出力はデータより大きく、歪み率は50hzに比べて小さく10.8%だった。

6057プレートからカップリングコンデンサで励振交流電圧のみを引き出し歪み率を測定する。12.95%と逆転してしまったから測定誤差となり、50hz時のトランスの歪みはまったく問題ない。低域が欲しければ巻き数を多く巻こう、の実証実験は見事に成功して低域は30hzで-3dbとトランスメーカ並みのデータとなった。ふと思いつきamp工房のaltecメインシステムへ接続して音を出す。それは随分素直な音で、素材力学が完成していない段階でも先を十分に予感させる明快な有に安堵した。

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