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2019年12月18日 (水)

音色力学 フォノイコ用タムタトロイダルトランス  pr7808s完全改造

12200xx昔、金田式6c33cb otlアンプ用で多数用意したタムラのトロイダルトランスpr7808sだが、高価な割に音は悪い。理由は樹脂でがんじがらめにしてしまいコイルの振動の持って行き場がないから、寺内貫太郎のようにじぐるって自分で真っ赤になって消費する。電源トランスの場合、50/60hzの振動も出るから「臭いものに蓋をしろ!」的処理が多い。celloやviolaの電源を見て欲しい。画像のパフォーマンスはeiコア型電源トランスとチョークコイル共に絶縁テープで巻いただけで開放型にしてあり、むしろこの方が振動は逃げ易くてよろしい。violaのブラボーの電源はトロイダルトランスだが、やはりテーピング処理をしただけ。celloもviolaもトム・コランジェロの確かな耳でこの構造になったが、亡き後のポ-ル・ジェイソンではどうなるか分からない。eiコア型の方が音が良いだの、トロイダルコア型の方が音が良いだの、決定的な説明は何も無いが、偶然出来上がったトランスの防振効果の大きい方が音が良い訳で、ここに意図を持たせた設計をやれば音質カイゼンにかなりの効果がある。

12206大量の在庫を抱えて...たったの10台だが思案の末完全解体を編出した。以前のエントリー通りの完全解体なのだ。先ずは深絞りのアルミケース(アルミプレス製品でこれだけ深く絞れるプレス技術はたいしたもの)にノコギリで切断線を入れて、後は大型にニッパで強引に剥ぎ取る。ノコギリの切断は2mmのアルミ厚のみとして深く切らない。

122091ただ問題はアルミ素材の意図が分からない。もしシールドするならばトランスは漏れ磁束の磁気シールドになり、素材は透磁率の高い鉄板等になる。アルミは弱磁性体になり磁気シールド効果はない。逆に電気を良く通すから電磁波防御には向いている。ただトランスの電磁シールドは考えられないので単純に深絞りの素材として使用したフシがある。こっちは切断が楽でアルミで良かったけど。

12202アルミケースを撤去すると樹脂モールドされたトロイダルトランスの本体が現れる。巻き線は完全に樹脂で覆われており、トランスエレメントをここから掘り出す。この手法については、絶対誰も思いつかないしやろうと思わない。自分でトランスを製作して振動力学を考えないと思いつかない。

12203ここからがカッラーラの石切り場で巨大な大理石を前にミケランジェロが「この石の中に彫るべきものの姿が見える」と言った心境にも等しい。いやもっと厳しいかも知れない。Φ0.5mmのポリウレタン線が表面をのたくり、ノミが入ればひとたまりもなく切断してしまう。一応樹脂片飛散防止でバリアを用意したが...

12204ほれこの通り、樹脂の中に線が!ノミは力を込めて打たないと樹脂は飛び散らない。打ちすぎは断線になるから、力行と制動が同時に行われ人間サーボ機構となる。毎度ながら悲惨は研究室中にバリアを飛び越え樹脂片が飛び散り、掃除のしようもない。これだけの繊細なノミ打ちができるならば、彫刻家になれるかも知れない。しかしです、たまにハンマーがノミを外れて指に当り痛さに参り、彫刻家はやりたくない。

12201_20191216171701流石にこのΦ0.5mmの細線の多さに参り、タムラのプレートを見て必要巻き線を調べた。左の赤丸印はac100vの巻き線で1次側、これがトロイダルの一番内側に巻かれて絶縁処理してあるから表面には絶対に出ない。右の55vx2が必要な巻き線でΦ2.00mmで巻いてある。ここまでが必要でその他は巻きなおし対象になる。よってノミが入って仮に断線しても全く問題ないと判明した。参考までに、55vx2の巻き線は55vの巻き線が全部で4巻きあり、これを全て直列接続に変更して220vを作り出している。

12205な~んだ昔から気が付けば良かった。ひたすら無心にノミを打ち続け丸1日、ようやく外周の樹脂はほぼ撤去出来た。これだけでも水晶粒防振構造化は出来るが、中心の樹脂を抜かない限り追加の巻き線は出来ない。ここは最後の難関になるが、昔中心へドリルで貫通穴を開けたことを思い出し今回はコンクリートキリで貫通させた。

12207更にです、中央に穴が開いたことで樹脂に逃げ場が生じ、片側から中央樹脂部を叩くと反対側に抜け出した。これが滅法気持ちは良いが、このトランスではΦ0.5mmのポリウレタン線が数多く中央樹脂に埋まっており、ズタズタに切れたがこれは固体差になる。これでミケランジェロ気分の作業は完了した。

12208あんぷおやじ流儀のトロイダルトランスとタムラのpr7808s改が並んだ。あんぷおやじ流儀のofc純銅トロイダルトランスは最強だが、pr7808s改は水晶粒防振すれば市販のどのトランスより強力になる。磁気抵抗はRm=L/μxsとなる。Lは長さ、μは透磁率、sは面積、とゆうことでタムラの円筒トロイダルトランスは出来ているが、如何せんLが短すぎる。気持ちは分かるが、Lを長くしてμを大きくすれば等価となり、1次と2次の絶縁紙が厚く出来、ストレーキャップが小さく出来る。だが優良メーカは決して冒険をしない。あんぷおやじ流儀はトランスでしくじっても、シロウトだからしょうがないと開き直れるが、メーカはそうはいかない。冒険しなくなったオーディオは音がつまらなくなり、シュミレーションが発達した音は事務的になった。

12209このトランスはkuraiman社長氏のフォノイコ用の電源トランスになる。先日のamp研究会、kuraiman社長氏に追加巻き線の為の仕上げ作業をやってもらった。自慢げに名工ミルトさんに見せると「あ~なるほど、仕上げで汚いテーピングは全部取ってしまおう!」その一言に、常に最善を尽くそうの精神が何時の間にか希薄になり、タムラのトロイダルだからまあいいか!はいかん。kuraiman社長氏をサポートしながら汚らしいフィルムを全部撤去、ついでに6.3vと70vx2の巻き線も必要ないので全部巻き解いた。お~なんと美しい、これにヒータ巻き線の15vx2を追加すればよい。ここまでくればタムラトランスではなくてあんぷおやじ流儀のトランスになり、お荷物だったトロイダルが急にお宝に見えはじめた。次回のamp研究会ではt-mon君のタムラトロイダルも同様に美しくしよう。

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