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2020年3月13日 (金)

音色力学 ab international 900aパワーアンプのスーパーチューニング 了

203130xガッレリアのprada本店横のショーウインドウに飾られたマリリン・モンローに魅せられ、クラクラしながらそのガッレリアを抜けると突然巨大なゴシック様式のミラノのドゥオーモ (Duomo di Milano)が現れ、その美しさに思わず息を呑む。 このドゥオーモ(大聖堂)はロンバルディア州都ミラノのシンボルとなっている。そして今、ロンバルディア州はコロナの震源地になってしまった。常に観光客で溢れるドゥオーモ広場に人は殆ど居なくなり、ミラノもイタリアもエライことになってしまった。そろそろカラバッジオを観にローマへ行こうか、などと構想を描いている矢先に世界中が大ピンチになってしまった。もしかしたら2度とローマへ行けないのかも知れないし、だから常々今、今を生きて不眠不休でやるしかないと決めている。サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会(Chiesa di Santa Maria delle Grazie)もミラノにあり、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐がある。ミラノは完全閉鎖で、今となっては最後の晩餐を観ておいて良かった。がんばれイタリア!

203132電源基板の完全解体をする。サンガモの電解コンデンサ10,000μf75vを清掃すると新品同様になった。このアンプは「何とか地区拡声装置」と紙が張ってあり殆ど稼働してないようで、外観はキズだらけだが中身は新品みたいだ。アルミ電解コンデンサの問題点はアルミの音色で、特にアルミ端子の電流が流れる部分がよろしくない。電解コンデンサは漏れ電流もあり容量の精度も電解液の状態で変り、そのずさんさからオーディオマニアは「電解コンデンサは悪で除去しろ!」と叫ぶ。そこで昔、大手が電解コンデンサを止めてフィルムコンだけにしたパワーアンプを発表した。その行く末は知らないがトム・コランジェロが転ばなかったコトからして、電源は電解コンデンサでなければダメとなった。音のエネルギーはコンデンサのレギュレーションに支配されて、我らがロボットで使うリップル電流30aの電解コンにフィルムコンは太刀打ちできない。

203133次に電源基板からダイオードブリッジを抜く。基板の銅箔厚みは35ミクロンタイプでハンダの熱量は相当に必要。おまけにスルーホールだからダイオードブリッジは抜けず、300wのコテを持ち出し漸く抜けた。

203134基板から不要なものを除去したら電解コンデンサ用に余分な穴を発見。これは電解コンデンサの誤設置防止のためで、のぞき窓から極性を確認できて良いアイディアと思う。

203135こちらがトライアック部となり、cr時定数を持ったリレー回路で遅延させ、トライアックのゲートをオンして電源投入をしている。


203136これをリレーに置き換えるためトライアックを撤去する。この基板の問題点はシルク印刷が無いコトで、代わりに基板にエッチング文字を残すべきだがそれもない。仕方がないので手描きした。

203137続いて31df6をハンダ付けする。水晶粒防振構造化すると空冷より放熱容量が減るため、ギャランティは30wまでとし500wなんか出さない。そうすれば31df6のシングルでも問題なく使える。

203138最後に電源開閉用のリレーを取り付け配線して電源基板の改造は完了する。所謂無接点リレーを有接点リレーに置き換えるのだから、時代に逆行している。オーディオの音は時代と共に進化してきた訳ではないので、こうゆうコトは良く起きる。モンスターチューニングではリレー接点に純金又はofc純銅の板を張り付ける。今回は標準の銅合金接点になる。半金属のトライアックから銅合金への交換は、驚くほど音色が変わる。電源基板の改造手法はやたら詳しいが、音は電源が出している理屈からここを最重要に位置づけている。

2031500篭城中でpadobaの店主に弁当を依頼してあり、受け取りにamp工房へ出向いた。途端にパーカショニストのnakaさんからtelが入る。「あんぷおやじ~、凄いよ、凄い、ハイエンドアンプだ!電源入れてから直ぐにとんでもない音が出る...」矢継ぎ早に興奮してまくし立てる。「回路構成と部品からab international 900aがno1、次がアムクロンのce2000txになり、その他は...」と説明した。音色力学に従ってセオリー通りに開発や改造をすれば、聴かずとも良い音の出るコトは分かる。今回は測定に終始してヒアリングはゼロ、それでも良い音が出たのも当然と言えば当然だが「余人を持って替え難し」の音ではない限界もある。「余人を持って替え難し」の音とは?1つの例として上海駿河屋さんの音がそれ。軟弱なjazzフリークは腰を抜かして逃げ出す鬼音、そうゆう唯一無二の音のコトを言う。

Schなぜab international 900a若しくは9220aがno1になったかと言うと、回路は簡単でチューニングがやり易いこと、入力アンプ部はバランス回路を除けばopampを使っていないこと、コンストラクションが水晶粒防振に適していること、これらで決めた。アムクロンのce2000txやmicro-tec600&1200も候補にあがったが、少々複雑で今回は見送った。アムクロンではvzタイプ(可変インピーダンス)も良かったが回路図が無く脱落した。その他プロ用パワーアンプを片っ端から調べたが、コンストラクションが水晶粒防振構造に適さないか、モールドトランジスタで改造の気分にならないかで脱落した。これらからab international 900a又は9220a、アムクロンのce2000tx又はmicro-tec600&1200が最適に思う。

203151このまんま篭城すると改造の記録も記憶から消えうせるため、急遽ブログをエントリーして記録を留めることにした。さて、先ずはお粗末なスピーカ端子をofc純銅端子に交換しよう。同時にacinもインレットを新設する。ヒューズはカルダスワイヤーを使って水晶粒防振ヒューズを作る。

A2こちらがその完成品。配線材は音質まあまあのモガミofc線を使う。ファストン端子などそのまま利用しているので音質はやや硬質だが、この方が一般受けする。

A3acインレットのパネルカットが大変難儀した。結局Φ2.5mmのキリでミシン加工をして抜いた。今回は手持ちの材料からフルテックのリン青銅金メッキもんを使ったが、これも音質は若干硬質となる。

203153次はパワーアンプボードの改造になる。パラランをやる時に必ず必要になるのがエミッタ抵抗で、主回路だからトランジスタと同様に重要なデバイスとなるが、たいていは身分最下位のおまけのグリコになってしまうのは何故だろうか?

203154エミッタ帰還抵抗は0.36Ωの酸化金属皮膜抵抗が使われており音は最悪。ここは百歩譲ってニクロム線の巻き線抵抗としよう。

 

203155そこでオヤイデに銅マンガニン線を手配した。Φ0.35で4.57Ω/mだから0.36Ωでおおよそ80mm、これを実際に切断して抵抗を測定し、画像のようにクルリと巻いて抵抗体として交換する。気を使いすぎて小さくグルグル巻いてインダクタンスにしないように。まあ、アマチアイズムに溢れるならば抵抗くらいは作るべし。

203156x次はバランス(インスツルメンテーションアンプ)入力部の改造となるが、ab international 900aのドキュメントは案外ダメで記述されていない部分も多く基板を追っかけた。上の赤丸がアンバランス入力部になり、下の赤丸がバランス出力になる。

203157先ずはバランス出力の100Ωの抵抗を抜き(パターンカットが常套手段だが今回はやらない)、バランス出力を作動不能とする。


203158次にofc純銅rcaジャックを取り付け配線する。妖しい中華のofc純銅rcaジャックだが、このジャックの音色を気に入っている御仁もいるから使ってみた。


203159次にノンポールのカップリングコンデンサを抜いてクラリティキャップの4.7μfに交換する。acアンプとなっているため帰還回路にも同様のノンポールが付いているが、スーパーチューニングでは交換しない。勿論モンスター改造時はデンマークduelund社のofc純銅コンデンサを使う。

2031591パワーアンプ基板のドライブ段の高圧電源が出力段の低い電源に紛れ込ませないための、妖しいダイオードは31df6に交換する。これにてパワーアンプボードの改造は終わる。

2031592たったこれだけの部品交換で音は激変する。ハイエンド機でもたまに見かける部品だが、良い音を出そうとしたら「こんな部品は使うなよ!」と言いたい。

 

A4改造が完了した各基板と部品です。たったこれしかないシンプルな構成が気に入っている。


A1いっとう心配なのは改造にしくじったトロイダル電源トランスで、一気に組み上げて事故れば大問題になってしまう。



A6そこで最初にトロイダル電源トランスだけに通電して検査をする。恐る恐るスライダックで電圧を上げていくが発熱は無い、大丈夫だ~。


A7これがその時のデータになる。69x√23=97v、これが出力駆動部の電源電圧になり十分に駆動できる。33vx√2=46vが出力段の電圧で、これでは500wは出せないね。

B1いよいよ組み立て開始です。ch2が下側で組み付ける。


B2ch1とch2の黄色い渡り線を忘れないようにする。


B3次は電源基板を入れて電源配線をする。しまった!電源ケーブルに方向のマークを付けるのを忘れた。クセを読み込んで難無きを得たが、ここは要注意です。

B4続いてch1を組み込む。電源ケーブルの無印は最後まで混乱した。


B5こちらが機構部品から基板部品まで撤去したものの全て、如何にも音が悪そうでしょ。アルミのステーは電源基板の固定用だが、水晶粒へ埋没させて固定するため不要となった。

C1いよいよ通電開始、間違いは無いか何度もチェックしているが毎度ながらスリリングです。

C2 負荷抵抗に4Ωを2チャネルとも接続、hpの8903bから1khzと2vの出力をrcaへ接続する。全く問題なく動作した。

C3その時のデータがこれ。検出周波数は999.45hzで歪み率は0.186%となり、全く問題ない。

C4その時の波形がこれ。11vrmsだから11^2/4=30wでこれがギャランティ範囲となる。

C5続いて温度上昇試験を丁寧にやる。ab international 900aパワーアンプのファン無しは理解出来ない。500wx2の出力でファン無しのこの放熱器はないでしょう。

C6温度センサーを付ける。安物のデジタル温度計のレスポンスが余りにも悪くて使えない。

C7そこで半導体温度センサーに交換し、粘土で放熱器に固定して測定した。30wx2のパワーで連続運転、温度はどんどん上昇して65度まで上がったが、まだ飽和かどうか分からない。これじゃあ水晶粒防振構造化は危険で出来ない。

C8冷却ファンを放熱器にあてて温度を測定すると見事に温度は下がる。アムクロンはb級で小出力ではほとんど発熱しないが、ab international 900a...ん?abとはab級のabか?まあアイドル電流は若干多いね。

C9そこで登場がsae2600の静音ファン、アルミフレームは腐食してボロボロのファンだが風音は殆ど聞こえない。丁寧に黒つや消し塗料を塗り、見た目も良くした。

D1ファン2個を取り付けるためのステーを放熱器に取り付けると、なんともゴツイ風情となる。

D2ファン2個をネジ止めする。

D3ファンの取り付いた勇姿を見て欲しい。こうゆう風な無骨にしてしまうのは、ロボット屋の習性でしょうかね。


D4出力を20wx2として長時間の温度上昇試験をやる。30wでは20wの負荷抵抗が炙られて匂い、アンプが炙られても判断が付かなくなるため仕方なしディレーティングした。

D9その時のデータがこれ。数時間放置しても44度程度で飽和して見事なデータだ。この時の室温が22度だから30度の温度上昇を見込んでも問題ない。これで水晶粒防振構造化できる。

D5ハイライトの水晶粒充填作業で、サンガモ電解コンデンサの下やらch2板の下に十分充填する。

D6トロイダル電源トランスの水晶粒充填は重要な作業で、特に下側は良く充填しておく。

D7xいよいよch1板の充填でユサユサゆすりながら満遍なく水晶粒を充填する。画像の温度センサーは一度水晶粒へ埋没させるためそのままにしておく。左のサーマルブレーカは95度でパワーアンプを遮断する仕組み。それにしても95度とはたまげた!

D8これで充填完了。重さは35kg位になり貸出機と考えたが重過ぎで思案、どうしようか。最後に水晶粒充填機の温度上昇試験をやるが、放熱器の部分では温度に差は殆ど無かった。このアンプは音を聴かずにパーカショニストのnakaさんへ渡した。これにてab international 900aパワーアンプのスーパーチューニングは了です。

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