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2020年7月 6日 (月)

振動力学 10kw高速サーボアンプ開発その5

2007041もう30年も前となれば時効!ここがロボットッベンチャーの昔の研究室で、スコッツバレーのボーランド社にもヒケをとらない美しい開発環境と思う。この当時はまだ小企業だったが、リアルタイムosにμitorn(マイクロアイトロン)を採用し、インテル32bit risc cpu i80960を使うなど、ライバルのy社に大きく水をあけていた。相棒の天才ソフトマンと向かい合わせで開発をやっており、時折教わるソフトウエアの極意は超単純だが貴重で、社を辞してからそれが大いに役立った。天才ソフトマンはどちらかと言うと文系で、ソフトウエアとは直木賞作家くらいの文才があれば最高と、その頃気付いた。多くのソフトウエアエンジニアを見てきたが、理工系は案外起承転結が苦手で動くけど迷路のようなソフトになり、作者自身でも分からなくなっていた。

2007062 ここまでくれば大丈夫でモータの代わりにスピーカを付ける。通電してデバック開始、うんともすんとも言わなくて動く気配はなし。大丈夫が一転して暗雲漂い始めた。

2007063そこで内部の状態をモニターすべくdaコンバータに吐き出してみた。u相とv相を別々のdaコンバータで吐き出すと、300hzは見事なプッシュ・プル動作をしている。v相はu相のポジションから+180度進めたサインテーブルを参照しているからこうなる。相補pwmの単相版が出来上がっている。これだけでもたいしたもんなのだけどね、まあどうでもいい話しか。

2007064ここからが久々の泥沼で原因は分からない。15年ぶりに富士電機のipm 7mbp75ra120のマニュアルを首っ引きで読む。3相のipmだが単相で使うため、制御電源はu,v相のみ通電してw相は必要ないと判断していた。ここでw相のアンダーボルテージアラーム(uv)に引っ掛かってしまった。

2007065ようしこれで解決と思ったが、未だ何かある。その何かが分からない。強烈なpwmノイズが出るため使わないw相の入力端子は短絡してあり、もしやと入力端子を開放すると、やっと動作した。

2007066何で~?と調べてみれば入力信号はlowレベルでonとなるため、w相アッパーアームとロアアームは同時オン状態で、アラームに引っ掛かっていた。だからuvと短絡のアラーム2重苦で解決が遅れた。通常は3相だから気がつかない問題で、こうゆう特殊な使い方で初めてipm動作の詳細が理解できる。ここがic時代の落とし穴で、daコンバータ作ってまっせ!と言われる御仁の多くは中身を承知していない。承知していなくても動いてしまうから、コワイ時代と言える。晴れてipm問題は解決で、ここからがソフトウエアのデバックです。

2007067イエロースコープを起動してプログラムをランさせる。スピーカから強烈な300hz音が聞こえるが、なんだか甲高い300hzだな。

2007068そこでスピーカ両端の電圧波形を観測する。この波形を1発で理解できる方はサーボアンプのエンジニアです。dpo(デジタルフォスファ)で波形を見ているが、この波形で確実にpwmサイン波を描いており、pushが+の半サイクルで、pullが-の半サイクルとなる

2007069 念のため電流波形を観測しようと小型の電流センサー2アンペアを増設した。これは電流帰還アルゴリズムのデバックにも好都合となる。左が本番用の50a電流センサーで貫通型。

2007091こちらがその電流波形。デジタルオープンループはご覧のようにサイン波が大きく歪む。特に大容量のipmはデッドタイムが大きいのでゼロクロス歪みは大きく、ここのカイゼンは相当に難しい。rms値は205.3mvとなっているが波形歪みで少々小さく、ピーク値は330mvくらいあるから本来は236mvとなる。この値を電流換算すると(2a/4v)x0.2053=103maとなり、スピーカ電流が出る。このように低い周波数ならばrisc cpuで音を出すことも出来て、出力段にcx350管を使えば古典管デジタルアンプが出来る。

2007092入出力を重ねるとこのような波形になる。なんだか甲高い音はfftに掛ければ直ぐに分かるが、fftの段取りが面倒で今回はやらない。pwmがコイルで積分される際の高調波成分がヤマハのフルレンジスピーカでは応答してしまい、300hzに重畳されている。デジタルアンプでフィルターレスはこうなる。ここまではオープンループの話で、電流帰還をかけて300hzの指令値に合わせる。概ねカイゼンされるがゼロクロス歪みはとりきれない。黒色のスピーカに流れている電流の頂点辺りが暴れているが、これが超効率発電機の取り組みにもある力行と回生の同時状態で、ここが分離できると効率は上がる。

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