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2020年8月17日 (月)

振動力学 altec 515b&416-8a ウーファーの加速度Gと水晶粒防振構造

2008171k工業m氏の部下の皆さんと連日計算式に没頭している。サイン波加速度がその計算のテーマで、ちょうどamp工房のaltec515bウーファーの受け持ち周波数帯と同じになる。振幅±1mm、周波数200hzのパラメータを左図の加速度計算式へ代入する。sin(ωt+Φ)は加速度最大値で90度となり1となるから、加速度=(2πf)^2x0.001=1577m/sec^2と出る。力(トルク)変換では10kgを動かすとしたら10kgx1577m/sec^2=15770nとなる。加速度(m/sec^2)を標準重力加速度 (9.8m/sec^2)のGに変換すれば1577/9.8=161Gと出る。ふ~んと言われても大いに困る。1kgのものを200hzで1mm動かそうとした場合、161Gの世界では161kgもの荷重となり、恐ろしい。参考だが、515bのコーン紙重量は25g(グラム)あるから161倍して200hzの1mmでは4.0kg等価と凄い値になり、たまげる。tad1601bでは117gもあるから19kg等価となる。これにダンパーやエッジの粘性負荷が等価質量に加算されるから、実際はもっと大きな値となる。モータを設計するにあたり力(トルク)計算や加速度計算をやっている内に、ウーファーの重大な問題点に気付いた。

200817194ベイシーのスガワラさんは既にこのことに気付いている。「バディ・リッチの時速200キロメータ!を越す連打についていけるウーファーが、この世にいったい何種類あるのかという問題」と、加速度Gを具体的に時速で表現しており、速度の微分が加速度だから言っていることはまるっきり同じ。

2008172加速度計算をスピーカでやっていないことは過去も現在も続いている事実で、だから水晶粒防振構造化で音が大幅に変った訳だ。駆動力とその反力は161Gにもなるから、その振動エネルギーを黙って見逃す訳にはいかない。加速度は周波数fの2乗に比例し、変位dは比例となる。周波数の方が2乗で影響は大きいが、変位dも絡んでくるとホーンスピーカでなければならない、とゆう理屈も証明される。同じ音量を出すのにホーン機構で増幅されるから、変位dは小さくなる。その結果加速度は小さくなり必要トルクも小さくなり、磁気回路に余力を生じてjazzは躍動する。wウーファーの狙いは1本当りの変位dを1/√2として更に小さく出来る。よってwウーファーの必然性はここにありで、決して見た目の問題ではない。wウーファーのホーンシステムは長年の憧れで使い続けているが、これが正解だったとは幸運だった。

20081792現代は強力なネオジウム磁石があるから、力は幾らでも出せるような錯覚に陥りやすい。200hzで±1mmの161Gを正確に動かす巨大なスピーカを、画像の原案で検討してもらった。仲間のモータ屋さんから有限要素解析の結果が出て「10,000n/75aで目論んだが7,000n/100aと半分しか力が出ない」。これはコイルに流す電流が大きいと反磁界の影響で推力が上がらない現象と言う。なるほど万能などあり得ん話で、この先警戒しなくてはならない磁気現象に、反磁界の登場です。

2008173加速度対策から派生する水晶粒防振構造は、今までやってきたことをゼロから見直さなくてはならない。以下kuraiman社長氏の416-8aを参考に見直してみる。ボイスコイル引き出し線は最悪で素材力学と振動力学にさらされている。カルダスケーブルを使用することはケーブル自身が防振機能を備えているから正解だった。この部分の水晶粒防振構造化とコーン紙の等価質量を増やさないためのアイディアが必要となる。

2008179マグネットカバーを外すと軟鉄のヨークが出てきて3ピースであることが分かり、磁気抵抗を減らすために溶接構造?などで結合度を上げている。この軟鉄で磁気回路を構成しているが果たして良いのか?
モガミ電線のデータから
鉄材の比透磁率の最大値
炭素鋼(S45C)1,000
軟鉄 Mild steel 2,000 
鉄 Iron 5,000 
硅素鋼 Silicon iron 7,000 
純鉄 Purified iron 200,000
磁気回路の鉄材の見直しは、フィールド型磁石の設計の時に必要な作業となる。安いリコーンキットにフィールド型磁石では、416-8aや515bで使える部分はフレームのみとなり、段々ヤバく妖しくなるがどうしたものか...

2008174その磁気回路の軟鉄ヨーク部を水晶粒防振構造化したのは我ながら傑作だが、今のような明快な理論があった訳ではなく直感だった。今までに例を見ない防振構造によりjazzは躍動するが、臭いものに蓋をしろ的防振構造は未だ不十分と言える。あくまでも200hzの161Gの反力は磁石に発生しており、ここを完璧なる水晶粒防振構造にしなければならない。アルニコ磁石はこの内部に入っていており見えず、それには磁気回路を解体しなくてはならず大変な作業になるが、いずれやらねばならない。

20081793軟鉄ヨーク部の水晶粒防振構造のサイズと重量は、大きければ大きい程防振効果は上がる。但し直径方向の巨大化はスピーカ背面のコーン紙の動きを制約する為に無理で、長さ方向へ伸ばすしかない。この構造を考えた時、思わずダリの「精巧でありふれた見えないハープ」を思い出し、ニヤリとした。良く似とる。おじさんの伸びた頭部はコンピュータなど多くを収納できて便利とダリは考えたが、416-8aの伸びた頭部はjazzを含めたあらゆる音楽を収納する。

2008175右に見える水晶粒防振リングで416-8aはバッフル板と振動絶縁される。ダリ絵の健全性は、おじさんの伸びた頭部を機動隊の「さすまた」で支えていることで、シュールレアリズムが物理的日常へ回帰してしまう。まあ、なければひっくり返ってしまうが、ダリはやたらと「さすまた」が好きだったから仕方がない。あんぷおやじ流儀の416-8aの伸びた頭部はこの水晶粒防振リングで支えて、「さすまた」代わりとなる。

2008176水晶粒防振リングはΦ18mmの熱収縮チューブを用いてリング状に作ってある。それをバッフル板にを取り付け、その上に416-8aを取り付けているが、これでも加速度161Gから考えれば不十分で根本から見直さねばならない。何らかの芯の上にトロイダルトランスで作ったような水晶粒タケノコ構造として、Φは50mmくらいと大きくしたい。

2008177傑作はスピーカ箱を2重構造にしたことで、その隙間に水晶粒を充填して防振効果の最強を狙ってある。amp工房のjblの4550bk箱のカットオフ周波数は50hzで、なんだい20hzも出ないのか?トロイと現代スピーカから言われてしまうが、1950年代60年代jazzならばこれで十分。とゆう訳でkuraiman社長氏の加速度G対策はこの箱に水晶粒防振化したショートホーンを付ける。この件は納品した時漠然と予言したが、今は必須と考える。

2008178ウエスタンエレクトリックのwe4181ウーファー(参考価格200万円)のショートホーンの事例を見ても、ホーンロードは短く低域のカットオフはかなり高い所になっている。40hzでは結構大きくなるのでamp工房と同じ50hzにすれば現実的寸法に入る。このホーンロードも水晶粒防振の2重構造にする。この手法はコロナ禍終息後に、い~や終息しないか、kuraiman社長氏と名工ミルトさんのスピーカで実施しよう。f=200hz、d=1mm、161Gの世界に耐えうるスピーカの水晶粒防振構造化は、こうして新たな局面を迎える。

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