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2022年7月27日 (水)

増幅力学 大電力デジタルアンプ4

2207260a化成の担当者から「50kwにしますか?それとも10kwにしますか?」と聞かれ即座に「50kwは持てませんから10kwでお願いします!」と答えた。今考えると、50kwの挑戦も中々面白そうでやっておけばよかった。jazz喫茶amp工房を開店直後のピカピカの時代で、お店の中に無骨な50kwなんか到底持ち込めない。50kwだと200a程度のipmを必要として現在に近い。当時のプリウスは50kwが駆動用の主モータ、10kwがブレーキエネルギー回収用のモータ。ipm動作の細部の詰めなどはその時代で終わり、安定して動いていたからその後見直しなどしてない。今般三菱のipmを破壊したコトで見直してみた。

7mbp150xipmはigbtをアッパーアームとロアアームに配して電源を短絡する回路になるから、アッパーとロアはデッドタイムで厳重に守られている。今回の事故はこれが崩れた。富士は休止時間の仕様は無くoff時間のみの表現になり、3.6μsecと大きい。この3.6μsecはワーストケースで実態はかなり早い。on遅れ時間の0.3μsecは90%の立ち上がり時間だから、デッドタイムに加味できない。この仕様書がクセモノで深読みしないと真実に辿り着けない。

Pm300dedxところが三菱は画像のようにon時間をoff時間から差っ引いてデッドタイムを算出している。仕様に2.5μsec≦デッドタイムとなっているが、これは間違い。amp工房の仕様は2.9μsec≦デッドタイムとなる。次に出てくるフォトカプラのディレイも考える必要があり3.1μsec≦デッドタイムとなる。従って富士も三菱もデッドタイムは3.1~3.8μsecと結論付く。

2207261高効率のフォトカプラも時代が変わってしまい、ここも測定し直してみた。cpuメイン電源とipm駆動電源はアイソレートされているため、コモンラインを接続してオシロで測定できるようにした。高価な横河電気の差動プローブは波形の再現性に疑問があり、最近はもっぱらこの方式にしている。但しパワー電源を印加しない状態のみ可能な方式。以下三菱のpm300において測定。

2207262_20220726140001各アームはアクティブローでオンとなり、しきい値は1.2vとなる。u相ロアアームのオン実測データ、ディレイ時間は200nsecとオン側は結構高速動作している。

2207263u相ロアアームのオフ実測データ、画像から立ち上がりがかなり緩やかに見えて瞬間勘違いするが、しき値が2.3vでディレイ時間は400nsecと画像のイメージよりは高速動作している。

2207264念のためu相アッパーアームも測定してみる。アッパーアーム電源のコモンラインをcpuのgndラインへ繋ぐ。オン実測データはロアアアームと変わらない。

2207265次はu相アッパーアームのオフ実測データ、こちらもロアアームと同じでフォトカプラ回路のディレイ時間はオンが200nsec、オフが400nsecとなり、オンオフの差分の400-200=200nsecをデッドタイムに加味すれば良い。まあ200nsecはバラツキの範囲に吸収されるから、デッドタイムは3.0~4.0μsecの間で決める。現実にはipmのp端子へ抵抗の1Ωを接続し、デューティ50%でpwmして無負荷電流を測定する。4μsecから短くしていき、電流が流れ始める少し前のデッドタイムを決定値とする。

2207266三菱は3μsecで短絡電流は流れなくなり、この値をデッドタイムと決めた。実値は3μsec/25nsec=120となる。画像がその状態で、デューティ50%では全く電流は流れていない。画像の黄色丸印が20khz,pwmの状態、1サイクルに2回の赤丸印はpwm短絡電流で値は相当に大きいが捉えきれていない。これがpwmアンプの最大の問題点で、ノイズ発生源となる。pwmアンプ作り始めの頃はこのノイズ取ったる!と意気込んだが原理上無理、このせいで昼間は100vラインにノイズが入り込み音を悪くしている。

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